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満州民族発祥伝説 | 紅楼夢と長白山



三国志演義、水滸伝、西遊記とともに中国の四大古典小説の一つに数えられる《紅楼夢》は、 清・乾隆帝の時代に曹雪芹によって書かれました。 古代の文化人は長白山に足を踏み入れるのは稀でしたが、大著《紅楼夢》が、 長白山の地理・人文を魂としていることを知る人は少ないようです。

近年、陳景河氏が《紅楼夢》と長白山の関係についての考察で、説得力のある学説を発表しました。《紅楼夢》の中で、 生活習慣において祖先に弔いをし、宗教の信仰から服装・装飾具まで、また食品、方言の地方訛りまで、すべて長白山と複雑に 関連しているといいます。

《紅楼夢》の中に、「大荒山(つまり長白山)の上に、無稽崖と青梗峰があり」という記述があります。実は、無稽崖は勿吉国の近似音で、 青梗峰は清根(清国の源)の近似音です。勿吉は中国古代の東北の少数民族の一つで、満州族の先祖です。 それゆえ、“大荒山の無稽崖と青梗峰”は訳して“長白山は勿吉、清の発祥の地”と読むことが出来ます。賈宝玉の口の中に 入っていた“通霊宝玉”は長白山の古勿吉の地に現れ、ここが清の発祥地であると述べているのです。

《紅楼夢》の第53話で、寧国府が除夜に祖廟で弔いをする場面があります。そこに登場する貢物は全て長白山の特産物で、 例えば大鹿、ノロ、イノシシ、青羊、キジ、クマの掌、ハイマツの茎などです。貢物を捧げる者の台詞に“大雪が降りしきる中、 一ヶ月と二日歩きました”というのがあります。その時間から推測して、黒山村はおよそ烏拉(今の吉林)以北の地方にあたると 考えられ、まさにそれが長白山ということになります。

満州族は金代以前から、シャーマニズムを信奉していました。これは一種の原始多神教で、万物に魂があることを思想の 基礎とし、日、山、川、トラ、ニシキヘビ、蛇、木などの自然物に対する崇拝を含み、トーテムと祖先に対して崇拝します。  《紅楼夢》の中に出て来るシャーマニズムの伝統の余韻に関してみると、全てそのような内容になっています。

第11、12話では、次のような話があります。 賈瑞が憧れの熙鳳に接近し、色目を使う賈瑞に憤慨した熙鳳が、仙女のような微笑みを見せつつも、心の中では賈瑞を殺す 計画を練っていました。嘘の待ち合わせ約束で賈瑞を誘い出しては、はぐらかしたり陥れたり・・・賈瑞はとうとう病気になって しまいます。そこへ足の不自由な道士が現れます。 道士は「裏面だけを3日照らせば病気は治りますよ」と言って「風月宝鑑」なる 鏡を賈瑞に手渡して去っていきました。 さっそく賈瑞が裏面を覗いてみると、髑髏がポツンと突っ立っているだけ。 驚いた賈瑞は、道士を罵りながら鏡をひっくり返してみると、煕鳳が中から手招きしているではありませんか!  賈瑞は大喜びでふらふらとその中に入っていきます。鏡を拾ったり落としたりを繰り返した末に動かなくなった賈瑞を見て、 人々が慌てて駆け寄ってみると、すでに賈瑞は息絶えていました。

この鏡こそが、太陽のトーテムのシンボルであり、シャーマニズムで最も重要な神具の一つとされています。神の宿る鏡には 魔力があるとされています。曹雪芹が書いた道士は、賈瑞に宝鏡を渡して、実際には満州族の祖先の鏡の風習を再現したのです。

満州族の数多くの風俗習慣は、《紅楼夢》の中にその影を見出すことが出来ます。

第73話では、築山の裏手で馬鹿姉やが五色の縫取りを施した春画の香袋(繍春嚢)を拾います。これが王夫人の手に渡り、 彼女は熙鳳に嫌疑をかけますが、熙鳳は潔白を証言しました。この犯人をつきとめるために大観園内の大捜索が行われることになります。

満州族の祖先は猟をする時、皮で縫った袋を腰に掛け、矢、食品などは全てその中に詰めていました。この袋の習慣が 次第に変化し、絶えず小さくなり、ますます精密になり、最後は香料だけを詰めて、女性が恋人にプレゼントしたりするの に使うようになりました。この袋が《紅楼夢》に登場したわけです。

狩猟の描写の中に、鹿肉を炙り、ソリを引く、などの記述もありますが、これらも満州族の風情です。