歴史文化・イベント戦略

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歴史文化は起爆剤になるか?

津は確かに歴史文化の町です。古くは日本三津のひとつに数えられ、海上交通の要衝の地でした。藤堂藩も32万石といえば大藩であり、お伊勢参りの宿場町として名を馳せたことも様々な文化を育む要因になったと思われます。日本三大観音の一角である津観音、朝鮮通信使ゆかりの唐人踊り等をはじめ、津城、専修寺、四天王寺、偕楽公園、結城神社、谷川士清旧宅、高虎太鼓、しゃご馬等、貴重な文化財も枚挙に暇がありません。



これらをまちおこしに活用しようという気運が盛り上がって来るのは自然な流れでしょうし、 「まちおこし」という命題を離れて考えたとしても地元の文化財を広くPRし伝えて行く努力は続けて行かねばならず、 また高く評価されるべきものと思います。

しかし、それが沈滞した津の町に活気を呼び戻すための原動力になり得るかどうかとなると、私は必ずし もそうは思いません。まず何よりも津の代表的な史跡名勝に全国的な知名度を誇るものがないということがあります。 津観音、専修寺などにしてもその分野に明るい方々はともかくとして、一般的にはほとんど知られていないといっても よいのではないでしょうか?
もちろん知名度がなければ何か面白いことでもやって知名度を上げ、新名所として PRすればよいわけですが、今それらの場所へ遠方から出向いた人が、「充分楽しめる」と心から笑顔で言えるような 状況だとはお世辞にも言えません。あるがままを残すのはよいとしても、その公開のあり方が極めて地元志向的であ り、観光志向的になっていないからです。それは一般の観光地と比べれば一目瞭然です。津観音で絵葉書やペナント、 ビデオなど、売ってますか?専修寺に因んだ土産物が何かありますか?そういうPRだけが全てではないという反論も あるでしょうが、少なくとも顧客誘致のための新しい取り組みをやろうという気運が地元から全く感じられないのも事実 のようです。何もやらなければ何も起こらない、ただそれだけのことです。

一方、無形文化財や踊りなどの分野では、ここ数年目覚しい動きがあります。何といっても特筆すべきは「安濃津よさこい」の登場です。全国的なお祭りブームに遅れることなく地元に大規模なイベントを立ち上げたのは、まさに快挙といってもよいでしょう。





安濃津よさこいのおかげで津まつりの 見物客動員数は飛躍的に伸び、昨年度は好天に恵まれたこともあって期間中に40万人に達した由。 三重県内ではお伊勢参りに次ぐ顧客動員数を記録したわけで、これは大変なことだと思います。

また2002年より、中心部の商店街を中心にストリートコンサートなどの企画も実施されるようになりました。 見る人々に楽しみを与えるだけでなく、演奏する人々にとってもお披露目の場が提供されるわけで、 ストリートミュージシャンが溢れる繁華街のような演出により、往年の活気の一部が戻ったかのようなホッとした 雰囲気を生み出します。

歴史・文化を謳い文句にしたイベントは、やり方次第でしょうが、明らかにそれ自体として集客力は 期待出来ることが証明出来るとも言えましょう。ただ、問題は、集めた人々がリピーターになって くれるかどうかです。リピーターが確保できて初めて、その町への本格的にして持続的な人的・物的流れが 生まれるのであり、それなしにはせっかくのイベントも一過性のもので終わってしまいます。持続的な発展・ 賑わいを呼ぶために、大掛かりなイベントを毎日続けなければならないことになりますが、 コスト的にも時間的にも、それが現実的でないことは誰の目にも明らかでしょう。

私は、歴史文化だけでは、本格的な町おこしは出来ないと思います。そのようなアカデミックな動機付けで動 く人は、地元の人々か、よほど勉強熱心な人々だけでしょうし、それも一度訪問してしまえば、同じところを 二度も三度も訪れるケースは稀ではないかと思います。

やはり、新しい人の流れを作る必要があります。津市内、近隣市町村だけからでなく、 遠方も含めた全国、さらには海外からの人の流入を画策する必要があります。中部新空港との海上 アクセス、および、おりからの日韓交流ブームを活用した、韓国からの観光客誘致を軸として、 戦略を考えてみました。


唐人さんの家