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19.黒龍江省 五常市 民楽朝鮮族郷(上)

土質が良くて水も良い、中国最高の米生産"京畿米も顔色無しだね"

科学農業に早くから目覚めて…精米所で種子技術を提供、契約栽培。韓国の米価と互角… 種もみ盗もうとした日本人、恥を晒す

7千名のうち慶尚道原籍者が95%…稲作がよく出来ても離農現象ますます深刻…去年まで金 儲けしに韓国へ行った人だけで1千名超える


▲民楽郷近隣を潤す旧三河。民楽郷は水と土質が良く、"中国最高の米を生産する地域"という名声を得ている

白楊木並木と果てしない平原にうんざりする頃、豊かな水が現われる。

旧三河、水量が豊かな錦浦江ぐらいのこの川筋が嬉しいのは、もうすなわち目的地が近くなって いるということを意味するからだ。広い北満州で'人種の島'を成している朝鮮族の集団居住地は、 大部分川と近く、自然潅漑の可能な低い平地という条件を備えている。米飯を思い切り食べたいが ために不慣れで言葉も通じない満州原野に移住した植民地の貧農たちは、ひたすらに米作りの 出来る水と油っこい土地を探して絶えず漂泊した。その流浪の歴史が朝鮮族の歴史に他ならない。

民楽郷政府の建物は古くさくはあっても,規模が思ったより大きく、威厳がある。中国の行政単位の うち、郷は我が国の面と似た位置を占めている。しかし人口と面積などの規模では私たちの面単位 とは比較にならないほど大きい。民楽郷も五常県ではとても小さな郷に属するが、人口が1万2千名 余りにもなる。全体戸口の中で朝鮮族は7千名余で、漢族に比べて朝鮮族人口が多い。それで郷長 と党書記などの高位職は朝鮮族が引き受けている。もちろんその下の党幹部の中には漢族もいる。

どこで会っても私たちの血縁であることが見当をつけることができるような親しい外貌の皇甫チャン 郷長が嬉しそうに取材陣を迎えてくれた。車を勧めた後、彼は詳しい話は後で老人たちに聞くこととして、 まずは自分が手短かに村についての説明をしてあげよう、と厚意的だ。

彼の説明によれば、民楽郷の朝鮮族は全体で13の村を中心に集まっている。郷所在地を中心に朝鮮族 村が広がっており、その外郭を漢族村が取り囲んでいる。朝鮮族村のうち蘇家屯、民楽屯、栄興屯などは 純粋な朝鮮族村だが、その他の村には漢族が少しずつ混じっている。他の朝鮮族村と同じく開拓当時、 馬車係など、村で必要とされて呼び入れた漢族の子孫がそのままくっついて暮しているのだ。

朝鮮族住民のうち、原籍地が慶尚道である人は全体の95%以上。それで慶尚道出身の朝鮮族の密集 度が高い五常市でも民楽は代表的な慶尚道村と呼ばれる。皇甫郷長が取材陣のために予め仕えた村の 元老・権ウンヨンさん(61、聞慶市出身)は、"みんな慶尚道の人ばかり"という言葉で慶尚道出身一色である 住民の原籍地を強調する。たとえ咸鏡道や平安道等の朝鮮族がまじっていてもすぐに訛りや生活慣習など が慶尚道式に変わるしかないという意味だ。

村についての大体の説明が終わると、郷長と権さんの'五常米自慢二重奏(?)'が始まる。皇甫郷長が村の 農業専門家だと紹介してくれた権さんは、農業の話なら夜を明かしても足りない位博識な人物。彼は土質が良く、 水が良い民楽で中国全体をひっくるめて最高の米が出ると誇る。実は拉林河と沫流河が交差し、呼蘭河と 旧三河など周辺を流れる水かさの多い民楽郷の水事情は良い方だ。土質も油分の多い世界でも有名な中国 東北平原の黒土である。

それに自然災害も少なく、人的資源も優秀という長所を民楽は備えている。農業専門家がいることで分かるよう に、この里人たちは早くから科学農業に目覚めた。他の村にはない農民協会という自発的な組職を結成、 お互いに技術を交流し、共同で研究を行い、品質の良い米をより多く生産しようとする努力を怠っていない。 権さんは過去数十年間の気象状況まできちんと


▲民楽朝鮮族郷人民政府の建物.


▲民楽郷のある精米所.


▲ビニールハウスで霊徳が故郷である朴チャンシクさん夫婦が苗を調べている。

記録しているほどだ。

4〜5年前からは農薬や化学肥料を使わない有機農法を導入、他の所と差別化している。有機農法を取り 入れるようになったのには村の精米所が大きな役割をした。ここでは村の精米所が個人に種と技術を提供し、 秋に米を買い取る契約栽培方式の農業が成り立っており、精米所の影響力がある方だ。それで中国市場でも 環境に優しい農産物への需要が増えるということに気付いた村の精米所が、農民に有機農法で米作りをする ことを要求、新しい農業革命が可能になった。

このような努力の末、民楽米は品質を認められ、隣にある安家鎮の漢族が作った米よりは一斤(500g)当たり10〜15銭高い。 一般の米価格がおよそ1元余りであることを勘案すれば、差は実に大きい。

農民の科学農業マインドを鼓舞している村の精米所は、全部で5つ。 日本人の投資した精米所が一つあり、残りは皆、漢族が投資した精米所だ。これらの中で は契約栽培した最高品質の米を加工した後、真空包装して一般の米よりおよそ6倍も高い 、一斤当り6元で市場に出して人気を呼んでいる精米所もある。米一斤に6元なら、これは殆 ど韓国の米価に肉薄する水準だ。この米は主に北京、上海などの大都市で贈り物用に売られている。 韓国へも輸出される五常(民楽)米は、国際的にも名声を得ており、去年には日本人の農業専門家 がここに来て種もみを盗もうとて見つかり、恥をかく事もあったと皇甫郷長は誇る。彼は韓国にこの 米を持って行き、韓国の友人たちにご飯を作ってやると、誰もが'これは間違いなく京畿米'という判定 を下していたと言って笑う。とにかく五常米は彼らの執拗な説明を待つまでもなく、牡丹江寧安市の 水米、慶安米などと共に中国最高の米という名声を博していることだけは間違いない。

それに今年から中国中央政府が黒龍江省など農業を主要産業とするいくつかの地域に限り、農業税 を廃止して、補助金を与える政策を導入、今後は農業もやるに値するようになったと彼らは付け加える。 補助金は1畝(300坪)に30元。土地賃貸料ぐらいにはだろう。

このように米自慢と中国農業の未来を誇った皇甫郷長と権さんは、しかし朝鮮族の農家について話題を 移すと、気が抜けたような顔になる。農業環境がどんなに変わろうが、このごろの朝鮮族たちは農業をや らないのだから、当然だろう。現在、民楽の朝鮮族のうち農業をしている農家は70戸。この程度だから、 農業補助金が新たに与えられても、農業所得が上がっても、その恵沢は大部分他人のものになってしまう。

"ご先祖様が荒地を掘り起こして譲ってくれた土地なのに、今では老人だけ放っておいて皆出て行ってしまう" と権さんは昨今の離農現象を悲しがる。初期の移住民たちが水を探し土地を探して満州原野を放浪したのに対し、 今の朝鮮族はお金を探し、お金になる仕事を捜して新しい放浪の旅に出ているわけである。代表的な流浪先が 韓国と中国の沿海都市だ。

権さんは統計数値を示して、記者にここ起きている離農現象がいかに深刻かを説明してくれる。去年までに民楽 から韓国に出国した人は1千183人。このうち帰国した人が327名もになるが、再び農業に携わるケースは23人 だけとのこと。その他、郷鎮企業に携わる3人と、他の事業をする4人が村に残っただけで、残りは他の土地へと去った。 10人が帰って来ても村に残る人は1人もいないとすら言えるので、'対策が忙しい'という権さんのため息に実感がこもる。

(嶺南日報)


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