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15.遼寧省 瀋陽市 蘇家屯区 花苑新村(下)

'歴史歪曲の地'その場所に、それでも'希望'は育つ


▲新村幼稚園児。生活水準が高く、身なり、表情が明るい。

朴書記と一緒に上がった村政府事務室の屋上からは周辺の全景が一望出来る。村の東には広い 6車線道路が瀋陽市内に向いて伸びており、南側には村所有の土地が広く開けている。追加開発予定地で あるこの土地はまだ田畑の姿をとどめて。周辺には白楊木が境界を引くように区画をあちらこちらに分けている。

西と北にはアパート団地全体が眺望される。 6階位のアパートが長く3列に立っていて、その間には花壇と 遊び場、広場などが可愛らしくと陣取っている。アパートの棟間距離は45m。日光が遮られる家は一軒もない。 団地の入口側のアパートの壁面には連盟村という昔の名前の代わりに花苑新村という新しい村の名前が大きく 書かれている。村政府事務室のすぐ下は図書館。各種の韓国書籍を含め、1万5千巻の蔵書が備えられているが、 学生たちが学校へ行ってしまった早い時間のせいか、本を見る人々はあまり目立たない。

警備員が守るアパートの入口のすぐ傍で軽快な音楽が聞こえる。舞踏場だ。私たちの基準で見ればまだ 早い午前の時間なのになぜ踊りかと疑問に思うが、ここは中国。朝の運動だと見て間違いない。他の社会主義国家と同じく、 中国も踊りが生活の中に自然に溶け込んでいる。5、6組の中壮年層が手を取り合って踊っており、その傍でさら に多くの人々が休みながら踊りを鑑賞している姿が何とも自然だ。

舞踏場前の広場中央には黄金色の鳳凰像がにょっきりと立っている。村の未来を象徴する表象だ。

老人ホームはアパート中央広場の一番西の方に陣取っている。結構長い広場を横切って老人ホームに行く 道の中間中間に、この里人たちがどれだけ村を作るのに気を使ったのか分かる跡が多い。きれいな砂が 敷かれた子供の遊び場、休みなしに回っている水車、そして続く花壇と造景樹で韓国のアパート団地の景色 と比べてもさほど遜色のない飾り気が垣間見える。 "すべての施設を韓国風にした"という朴書記の言葉に実感がこもる。

老人ホームも他の朝鮮族村で見たのとは比較にならない位に小綺麗だ。10人余りが話を交わしながら過ごしていて、 突然入って来た記者を喜んで迎えてくれる。尚州市が故郷である韓スンファさん(92)など、老人たちはそれぞれの 事情を抱いて中国に渡って来て、それぞれ他の地域に離れて暮していたが、縁あって花苑新村で一家族のように '和気藹々と'集まって暮している。

老人たちは異口同音に"過ぎ去った歳月の間、苦労話はこれだけ本に書いても書ききれない"と腕を精一杯広げて見せる。 どんなに切羽詰って故郷を離れたのか、言葉も通じない異国で他人の土地を掘り起こすために、また異民族に揉まれながら 経験した悲しみはいかに大きかっただろうか。

お婆さんたちは"あの時に比べれば、今はいい暮らしをしている"と口をそろえて言う。ところが老人たちは'お金さえあれば 'という但し書きを付けなければならないことが不満なのだ。 'ただお金'のため、沈ウェスンさん(80)の甥は、 韓国へ密航船に乗って行き窒息して死んだし、この村のいくつかの家は家族が離れて暮すせいで結局家庭不和になり 離婚した後、村を離れたりしたし、親と


▲花苑新村を縮小して作った模型。左側の空の所が開発予定地だ。


▲アパート壁に設置された衛星アンテナ。ここの住民たちは誰もがこのアンテナで韓国TVを視聴している。

離れたこの村の一部の子供達は誤った道へ進んで行ったりした。

現在、花苑新村の労動力のうち60%は外地でお金を儲けている、農業がお金にならないせいで、 今でも農業をしている家は全体の2〜3%にしかならない。朴書記はこのために"否定的な面もあるが、 韓国が朝鮮族には大きな機会を提供した"と思っている。中国が開放される前、朝鮮族は米作りのおかげ で漢族より良い地位を占め、よい暮らしが出来たが、中国の米生産量が急増し、米価が下がり、朝鮮族の 位相が弱化し始めた。しかしこの時、幸いにも韓国の門が開かれて朝鮮族がまた機会を迎えたというのが彼の 考えだ。もちろん偽装結婚、旅券変造など韓国行きのための各種の詐欺手法が盛んで、離婚率が高くなるうえ、 ブローカーにだまされて身を滅ぼすなどの詐欺被害も増えるなど、副作用が深刻であるという事実を彼はよく知っている。 "瀋陽の西塔へ行けば韓国から来たゴミが増えている"と仄めかした朴書記は、"朝鮮族は悪い行いはすべて韓国人から学んだ"と笑う。

この里人たちは韓国だけではなく日本、南アフリカ共和国、ミャンマー、ドイツ、アイルランド、イスラエルなど 各国へ活発に進出している。村政府では村自体でこのような労動力を吸収し、家族が散らばることによる副作用を 減らそうと努力しているが、力不足だ。村では10社を超える既存の集団企業を民営化させる一方、文化住宅開発地区 で計画線の外側を工業地区として開発し、20社余りの企業を入住させるなど、村の収入と働き口を増やそうと、 さまざまな試みをしているが、なかなか思った通りにはならない。民営化した企業と工業地区に入居した企業は順調に 運営されているが、肝心のここの里人たちがここで働こうとしない。中国内陸都市の平均賃金に満足する朝鮮族はいないのだ。

それで完全な労動力は国外に飛び出して行き、アパートの中に残っている住民の大部分は年寄りと子供、そして 青少年層だ。都市化された、そして他の朝鮮族村の模範としたい集中村のモデルに浮上している花苑新村だが、 ここもやはり人を集めただけで、経済的に一人立ちは不可能だという限界を露呈しているわけだ。朴書記はそのため、 "この町は年寄りと子供達が家を守る町であり、金儲けしに出て行った人々が帰って来るまで、彼らをしっかり守って あげるのが私たちの役目"と打ち明ける。

それでも花苑新村は、異国で我が民族の世代を引き継いで行く子供たちの数が増えている幸せな村だ。村政府が建て、 個人に運営権を譲渡した村幼稚園の園児は去年が40人で、今年は100人に増えた。教育環境が良いので、この村に 移住する人々が増え、ここに子供を預ける家も当然増えている。韓国式教育に寄宿制で運営するなどの長所で、 親から人気を集めているのだ。ちょうど昼休み、教室毎に饅頭を手に握った子供達の声がざわめく。記者にはその声が 煩わしいどころか、嬉しい限りの、朝鮮族村でやっと聞いた、人の住む音として聞こえた。

赤ん坊を生めば5千元の賞金をもらえる村、年寄りたちには毎年500元づつ支援してくれる村、花苑新村で 再び中国に根付いた我が民族の希望を見る。

(嶺南日報)


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