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[特集] 延辺の発展には人材誘致戦略と政策代案が緊急課題

在日朝鮮族・李鋼哲博士

第5回中国・延吉図們江地域投資貿易商談会に出席のため、延吉市を訪れた在日朝鮮族・ 李鋼哲博士は、"延辺の発展には人材誘致戦略と政策代案が緊急の課題"としてフォーラムで論文を発表し、 延辺での人材誘致の切迫性を尖鋭に指摘した。

人材誘致にはどんな戦略と政策代案があるべきか

"'natter'という英語があるが、その意は即ち、話すばかりで行動しないということだ。 指導者、知識人は 必ず行動する人にならなければならない"と李鋼哲博士は語り、毎年、延辺の大きな行事に参加してみると、 指導者たちが延辺で必ず人材誘致をしなければならないと話しているにも関わらず、人材誘致戦略と政策の 代案は提示出来ずにいるとメスを入れた。

そして、彼は次の通り人材誘致の重要性を説明した。

魅力ある延辺を作るためには、多くの知識人たちがアイデアを出して政府や事業団体で政策化することが何よりも重要な課題だ。

李鋼哲博士は、延吉訪問で切実に感じたのが朝鮮族の人口の急激な減少と人材不足だという。 市場や公共の場所に行けば、目に見える人10人中朝鮮族は2人程度、朝鮮族の人口比率が37%というが、 実際には20%程度にしかならず、特に優秀な人材の流出が深刻だ。 延吉市が今後5年以内にIT先導都市を 建設する計画を発表したが、優秀な人材がいなければ空中楼閣で終わるだろう。 日本には中国朝鮮族が 6万人余りもいて、絶対多数は留学生やIT技術者たちだ。 それなら日本の朝鮮族人材とIT企業を延吉に誘致出来ないだろうか?

朝鮮族の人材、特に高学歴の人材が中国の大都市や沿海地区または海外に進出したので、延辺の地方産業や 企業では優秀な人材を確保しにくい。 また人材不足で朝鮮族の地方行政幹部の比率も急激に低下しており、 民族地域で朝鮮族自治を実施する上で多くの障害が生じることがあり、結果的には朝鮮族の民族としての権利と利益が保障出来ない。

特に延辺朝鮮族自治州や傘下の各市と県、そして郷と鎮、村で有能な朝鮮族幹部の不足が長期化すれば、 朝鮮族自治の地域がその価値を喪失することになり、さらに消滅する可能性も否定出来ないだろう。

今、海外にいる朝鮮族のうち、少なからぬ人々は現地に定着し、成功裏に事業と生活を享受しているが、さらに、 多くの人々はいつか故郷に帰って生活したいと考え、また故郷の発展のために貢献したいという人々も少なくない。 客観的に見ても、どこの国や地域を見ても、人材には流出から回帰するサイクルとタイミングがあるものだ。 韓国や 台湾は90年代が人材回帰(Uターン)の時期であり、中国は近年にその時期が近づいている。 まさに中国の急速な発展と共に、 中央政府と各級の地方政府が人材誘致戦略や政策を積極的に推進しているためだ。

しかし遺憾なのは、延辺はまだ各級指導者たちがこうした状況を認識出来ずにおり、人材の回帰を積極的に推進する戦略と 政策を制定出来ずにいるということだ。 例をあげれば、延辺の指導者や延吉市の指導者たちが日本を訪問する時、 会って話してみると、彼らには海外で活躍する人材の力を活用しようとする意識が非常に不足しており、海外の人材を宝と 考えて延辺に誘致したいとする考えも切実には感じることが出来ない。 これは深刻な問題であり、考え方の転換が必要だ。

中国のその他の発達した都市を見ると、人材誘致戦略を非常にうまく実施している。 厦門市の海外人材誘致の経験と政策を 見てみよう。 海外の人材が事業部門に就職する条件として、採用期間中、毎月本人の月給総額の10倍以内の特別手当を 支給し、特殊技能がある人は状況によってさらに高い月給も支給されることがあり、専門技術職は職位数の制限を受けずに状況に よって破格的な昇進になるように政策を打ち出しており、出国前と帰国後の勤続年数を連続計算するという一連の 人材誘致政策を実施している。

また深圳市は、2001年末、26人の副局長級幹部の選抜を全て海外に公開し、そのうち3つの職位を海外の専門人材に 提供、その後、吉林省、江蘇省、湖北省では次々に海外人材を副庁長級以下の職務にて採用し、年俸は10万元から数十万元と した。 浙江省政府は、2004年に19人の副庁長級幹部と5人の現場級幹部を海外人材にて採用した。

延辺が中国の先進地域に追いつき追い越そうとするなら、優秀で有能な人材を多く誘致して登用し、活躍させることが 重要なカギだ。

そのためには、人材を重視して海外の高級人材を積極的に登用する社会的風潮を作り、制度的な改革が必要なので、 各級政府や様々な単位では至急、人材誘致戦略と対策を用意しなければならない。 また人材の流出を防止するためには、 彼らに中国の大都市のように最高の待遇をしてあげなければならず、そうすれば自然に、海外の一流人材たちも訪ねてくるだろう。

李鋼哲博士は以上のように説明したが、すなわち"鳳凰が宿るためには、くつろぎの場所が良くなければならない"という道理だ。

ネットワークで朝鮮族社会を形成してこそ、文化および経済発展に有利となる。

"朝鮮族社会の文化と民族経済を発展させるためには、必ずネットワークという現代的な手段をうまく活用しなければならない"と 李鋼哲博士は指摘している。

彼は次の通り説明した。

現在の朝鮮族社会を調べると、大部分の朝鮮族の知識人そして技術者たちは、中国内はもちろん全世界各地に 星のように散らばっており、これらの星のように散らばった朝鮮族を一つにまとめて優秀な経験を最大限に発揮させるためには、 ネットワークの構築をうまくすべきだ。

そのためには、先ずは地域での集団組織が形成されなければならない。 今、山東省の青島では朝鮮族を求心点とする各組織があり、 このように地域はもちろん国外でも朝鮮族を求心点とする団体がなければならず、したがって各地域の団体はお互いのネックワークを 構築して、交流を活発に進めなければならない。

この問題には非常に敏感な点があり、主流民族が漢族である中国において、朝鮮族の発展は必ず中国の主流社会と合致しなければ ならない。 中国は民族問題が非常に敏感な問題であり、いかなる学術セミナーや組織活動をする時にも、主流民族を含むその他の 民族の専門家たちを出席させ、彼らが朝鮮族社会の情況をよく分かるようにし、また彼らの助言を耳をそばだてて聞くならば、 朝鮮族社会の発展にも非常に有利なだけでなく、彼らが朝鮮族を諸般社会に広報する上でも非常に良い。 調和がとれた民族の間の 企画と発展を試みてこそ、主流民族社会とも一つの輪になることが出来、また故国である朝鮮半島との関係を調和させつつ処理する ことが出来る。 そして各種のフォーラムを組織する時、その他の民族の専門家たちも見解を発表するように舞台を 用意しなければならない。

李鋼哲博士は以上のように説明して、自分は日本でシンポジウムを組織するたびに日本の主流社会の知識人たちを必ず参加させ、 また彼らに論文テーマも与え、共同で研究しさらには日本の記者なども招請して取材させるように条件を用意していると語った。 このようにして、日本社会でも朝鮮族という、このアイデンティティが知られるようになったのだ。

事実、彼は、延辺を離れてから既に28年になり、また延辺の田舎で農業をしてから離れたので、 延辺に対する愛着心もなかったし、友人や社会活動も基本的になかったという。 ただ、両親兄弟がいるため 毎年故郷の訪問をする程度だったが、日本に留学して選択した研究テーマが'図們江地域の国際開発問題'だった ので、朝鮮族の歴史を勉強することになり、またそれで延辺の発展に少しでも役に立とうと、このように頻繁に 訪れて来るようになったとのことだった。 こうした関係で彼は、延辺という背景と朝鮮族という特徴を生かして、 日本や韓国などの国際社会で自らの活動基盤と舞台を拡げて来たのだ。 そして当然、延辺と朝鮮族に恩返しを しなければならないと考え、民族と故郷の発展に自らの力を尽くさなければならないという使命感を持つことになったのだ。

李鋼哲 プロフィール

日本・北陸大学未来創造学部教授、朝鮮族研究学会会長(日本)

1959年中国吉林省延吉県出生
1985年北京中央民族大学哲学部卒業
1987年中共北京市委党学校研究生卒業
1987-91年中華全国総工会中国工業輸送学院講師
1991年日本留学修士、博士課程修了

2001年頃、東京財団で'東北アジア開発銀行設立'に関する研究。 日本政府に政策建議。 2003年から日本政府内閣府国策研究所総合研究開発区で、東北アジア経済協力と未来ビジョンに関する 政策研究(中国政府と韓国政府の政策研究機関と共同)に従事。 東北アジア人として東京、ソウル、 北京を連結し、交流をすると同時に海外朝鮮族の知識人たちがネットワークを構築しての活動を推進。 2006年から日本のマスコミに朝鮮族と延辺を広報し、日本-延辺研究会なども作る。 2008年8月、 延吉市政府から"延吉市人民政府経済特使および広報大使"に任命。

(黒龍江新聞 ユン・ウンゴル記者 2009年9月7日)
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