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[特集] 図們江地域の経済合作、何が問題か

UN発展開発計画書と延辺朝鮮族自治州人民政府で共同にて主催した対図們江地域国際合作開発延辺 フォーラムが中国、韓国、日本、ロシア、モンゴルの碩学たちが参加した中、 8月28日、 延辺白山ホテルで開かれた。 今度の延辺フォーラムに在日本の李鋼哲教授が在日本朝鮮族企業家代表団団長 として日本人 4人と在日本朝鮮族10人の合計 14人の碩学を率いて史上初めて参加した。 李鋼哲国際経済学教授、笠井信幸・日本秀明大学教授、趙松天・株式会社ベストドットコム社長に会い、 図們江地域の経済合作において解決して行かなければならない課題について聞いて見た。


▲延辺白山ホテルで本社特別インタビューを受けている三人の碩学。
左から笠井信幸教授(日本)、李鋼哲教授、趙松天社長。

国際合作という主題の中に見る対図們江地域経済合作

“図們江地域の経済合作はいまだに本格的な段階に入ることが出来ずにいるが、 近いうちに本格的に入って行くでしょう“と李鋼哲教授は言いながら、国際合作について語った。

現在、図們江地域の国家は中国、北朝鮮、韓国、ロシア、モンゴル、日本などであり、この地域の国々の 安全保障が非常に深刻な問題だ。 つい先日もそうだったように、今も南北の関係は非常に硬直した状況で、 特に米朝関係、日朝関係の問題がうまく行っていない。6者会談で核問題が重要な議題になっているが、 これは冷戦体制での解決すべき問題がまだ山積みになっていることを意味している。 1991年に南北が同時にUNに加入し、 北朝鮮と日本、北朝鮮と米国の国交正常化も挙論されるようになり、その一環として北朝鮮側では羅津、 先鋒開発というプロジェクトを提示したりもした。 しかし相次いで核問題が発生し、今日には 6者会談という フレームの中で北朝鮮の核問題を解決しようという方向になっている。

中国は今、政府の次元で図們江地域の経済合作を議事日程に乗せ、積極的に推進しており、吉林省政府と 延辺朝鮮族自治州政府では対図們江地域の経済合作というスローガンで合作開発を実施しようと計画している。 特に中国、北朝鮮、ロシアは図們江地域の開発で 三角構造を形成しており、図們江地域の開発でこの 三角構造の合作は重要なカギになると見られる。 現在、北朝鮮は安全保障問題で核問題が国家的に最大の懸案 となっており、また中国とロシアはお互いのモードが合わないでいる。つまり、ロシアは中国と違い、 いまだに市場経済の論理が普遍的に形成出来ておらず、北朝鮮はまだ開放されていない状態なので、 この 3ヶ国の図們江地域開発での協力体制が成り立つことが出来ていない状態だ。

UN開発計画で図們江事務所は、この地域の技術開発協力を支援してくれる機構であり、この地域を調査して 計画をしているが、資金を直接調達する機構ではない。 図們江地域開発では窮極的に多額の資金を要する ことになるが、この資金はアジア開発銀行と世銀の介入があって初めて可能になる。 今のような不安全な 要素のまま、国際銀行が介入して資金を投入するというのは不可能な事だ。 現在、延辺朝鮮族自治州の琿春市は 三国国境地帯であるといわれるほどの前哨地域であり、それだけに良い地理的メリットを持っており、 また吉林省と延辺が図們江地域の開発で主導的に出ているが、このような国際政治問題がうまく行かないために 図們江地域開発が遅くなっているのだ。

だからといって、国際政治が解決してくれるのを待っていればよいというわけではない。 中国政府では 今後の調和ある近隣諸国と合作のために持続的に努力しているので、 '冬服を夏にあらかじめ用意して 夏服を冬にあらかじめ用意する'という考え方で臨まなければならないでしょう。

現在、東南アジアは国々の間の調和が比較的よく出来ていて、アジア開発銀行が介入している状況だ。 特に指摘したいのは、アジア開発銀行総裁は日本人で、世銀総裁は米国人であるということを 重視しなければならないということだ。

民間交流、民間交易こそが図們江地域の合作開発を推進する近道

“政治的問題、経済的な問題が窮極的に図們江地域の開発において非常に重要な事だ。 ‘資本、人材、物流、技術’ この四つが国家と国家、地域と地域の間にて推進されることで合作開発が 成功出来る。 それゆえまずは出来ることからじっくりと推し進めなければならないでしょう。それが まさに民間交流及び民間交易の活性化だ”と笠井信幸教授は述べ、次のように説明した。

実のところ、図們江地域開発は 94年度から本格的に実施するはずだったのが、中国、ロシア、 北朝鮮の三国間のモードがお互いに違うため、この 3ヶ国が民間協力も民間交流も十分に出来ていなかった。 それに韓国も同じで、日本もこの地域に対する投資があまり活発でない。 しかし民間交流と協力は、 体制と理念を超えて可能なはずだ。

労動力資源の開発、資本の協力、人材の流通、物流の円滑な流通、技術の相互補完は、図們江地域の 合作開発において非常に重要な要素であり、これはまず民間的な次元で推し進めなければならない。 この面でハードウェア環境も重要だが、ソフトウェア環境も非常に重要だ。 しかし各国の国民はお互いに 他国を知らない部分があまりにも多い。 例えば、日本人の大部分は延辺という地域は越境人(脱北者)が 非常に多くて暗い地域だと思っているし、また周辺の環境が非常に不安全だと認識しており、これは日本の メディアが問題だ。 実際の延辺は非常に安全な地域で、また延辺が改革開放のテンポを早めるために 努力しているという事実を多くの日本人がよく知らない。

すなわち日本のマスコミでは、延辺の良いイメージを正しく報道していない。 もちろんこれは日本の マスコミでの問題でもあるが、延辺自体もこの地域の広報をしっかりとしなければならない。 いまだに 延辺でもマスコミの広報が限定されていると思う。延辺で投資説明会や各種の名目の投資博覧会を開くのも 良いが、多角度、多視角的に随時にマスコミ広報に力を注ぎ、日本人を含む外国人たちが延辺を訪れるように、 ソフトウェア環境を十分に用意しなければならない。 そのためには国外のメディアも随時に招待し、 また取材させるようにし、言論での門戸を幅広く開いておかなければならない。 それでこそ自国の民間人たちは、 その国、その地域をよく理解することが出来るのだ。 民間人がお互いの往来が頻繁になれば、理解も深まり、 したがってお互いの文化も充分に理解しながら投資も安心して出来るようになる。

図們江地域開発での延辺の位置

“延辺は図們江地域の合作開発で地理的、地政学的には非常に有利な位置を占めている。 しかし地域が大きいと、 行政力、政治力、資本力が大きくなるのに、延辺は吉林省の管轄権にあるため、自主性が小さくならざるを得ない。 今、図們江地域の合作開発で周辺 3ヶ国(中国、ロシア、北朝鮮)のモードが接近すれば、延辺の立場も随分向上する” と李鋼哲教授は指摘している。

そして彼は、現在、各国の利害関係が非常に異なるという。中国は日本海から水路を開こうと提案しているのに対し、 ロシアは極東地域の開発をさほど重視はしていない。 中国と北朝鮮が接している地域はロシア・ハサンだが、 ここはロシア側の立場で見るとただの国境地域に過ぎない。こんな各国の利害関係が異なる場所に、 延辺では地理的、地政学的な位置をうまく利用して物流通路、輸出加工団地、国境貿易団地などの建設を 積極的に推し進めなければならない。 そして李鋼哲教授はまた次のように説明した。 延辺は思想をなお いっそう解放して、知恵を集め、広報に拍車をかけなければならない。

特に朝鮮族は中国語、朝鮮語に堪能であり、一部は日本語もよく出来るだけでなく、中国、朝鮮半島、日本文化を よく知っていて、人的交流における朝鮮族は非常に強みがある。また延辺は外国人エリートの誘致にも力を尽くさ なければならず、さらに朝鮮族エリートたちを誘致することにも努力しなければならない。 調査によれば、現在、 延辺の朝鮮族エリートたちの半分以上は中国の沿海都市に出ており、または日本を含む各国に出ている。 そのため、実のところ延辺には朝鮮族の人材が非常に少ない。すなわち技術、資本を持つ人材が数多く外国あるいは 発達した地域に出てしまっており、非常に少ないという話だ。

延辺では朝鮮族(統計によると延辺の労務者たちが国外で儲けて送って来たお金が 45億ドル)が多くの資金を持って いるものの、資本を持っている人が少ない。 28年間、日本(注:李鋼哲教授は延辺生まれ)で生活しながら、 帰国するたびに、外国人に対しては完全なもてなしが隙間なくなされるのに対して、国内人にはあまり大きな関心を 見せないことが、今日のこの地域の現実、さらに一歩進んで中国の現実だろう。

だから延辺生まれの在外朝鮮族たちに対して、居心地のよう環境を作ることこそが延辺の発展と、 さらに一歩進んで北東アジア地域開発における重要なことだと思う。誰もが、特に国外に出た人は、窮極的には 自分の故郷を建設したいと思っているということを念頭に置かなければならないだろう。

“私は今、 IT産業に従事しているが、企業人として日本で 8年間生活しており、現在、当社の IT業に携わる朝鮮族は 職員全体の 80%を占め、20%が日本人だ”と趙松天社長は説明しながら次のように話した。

"今、少なからぬ在日本朝鮮族の企業人たちは、中国の北京、大連などに投資して事業しているが、延辺にはいまだに 行こうとは考えない。その主要な原因は、延辺ではいまだに技術・人材の受け入れが十分でないからだ“として、 ”国外に出て働く延辺のエリートたちは、延辺広報大使であり、彼らたとえ国外で事業をしていても延辺には時間的 に長くいたわけで、また彼らは自分が生まれ育った延辺に対して相対的に否定的なイメージを多く持っているので、 彼らを随時に故郷を訪問するように橋を架けてやるのが望ましい。延辺のイメージを国外にどのように植えつけるかと いうことは、在外朝鮮族にとっても非常に重要なことだ“と趙松天社長は言う。

李鋼哲博士と趙松天社長は “今、国外の朝鮮族はもちろん、国内の発達地域の朝鮮族たちも延辺へ行きたいと思って おらず、これは窮極的に居心地が良くないことを意味する"と述べた。

三碩学のプロフィール

李鋼哲:1985年、中央民族大学哲学系卒業、1987年、中共北京市委党学校研究生卒業、 1991年に日本で修士・博士課程 修了、2000年から東京財団、名古屋大学、総合研究開発機構などで北東アジア地域の合作政策を研究、2006年から現在まで 日本北陸大学教授として国際経済、国際金融などの研究分野に従事。

笠井信幸:日本秀明大学教授、専門は開発経済学、地域経済、東アジア経済研究、現在、アジア経済文化研究所理事兼首席研究員。

趙松天:1987年、長春郵電学院通信専業卒業、1995年まで延辺大学コンピューター学部講師、1995年に日本に渡り、 現在、日本ベストドットコム社長。

(黒龍江新聞 ユン・ウンゴル、キム・ソン記者 2008年9月9日)
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