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[特集] 《ペスカマ》号船上殺人事件 10周年特別企画(1)

縛られた結び目を解き、和合の場を作ろう

編者の言葉: 1996年 8月 2日、 韓国漁船 《ペスカマ》号に勤務した全在千、白忠範、李春勝、崔日奎、崔錦浩、朴君男ら 6人の 中国籍の船員たちが船長と甲板長の暴行と抑圧に耐えられなくなり、船員 11人を無惨に殺害した 《ペスカマ》事件が発生した。

現在まで韓国法院で死刑宣告を受けた全在千と無期刑の宣告を受けたその他 5人は釜山の監獄で服役中だ。

この事件が発生した後、 《吉林新聞》は何年もの間、事件の真相を糾明する連続追跡報道を進めながら、この事件が表では殺人事件だが 実質は長い間断絶された同族間に生じた看過出来ない葛藤の不可欠な結果という結論を得た。

一方、被害者の遺族に対する訪問慰問活動、事件当事者の船員家族訪問、朝鮮族有志たちの専門座談会、中国弁護士と韓国弁護士の死刑囚 救命運動、韓国の人権団体と問題解決座談会を行うなどの活動を積極的に進め、追跡報道を続けた。

今年はこの事件が発生してから 10年になる年だ。 これまで、中韓関係は非常に深いパートナー関係に発展し、朝鮮族と韓国人は経済文化 交流が頻繁になり、お互いを知り理解するようになった。

同族相食むこのような悲劇が二度と発生しないようにし、縛られた結び目を解き、まだ残っているお互いの不協和音を解消し、和合の場を 作ることが、まさに私たちがまだ完成することが出来なかった宿題だ。

本紙は 《ペスカマ》号事件特別企画として 《縛られた結び目を解いて和合の場を作ろう》という連続報道を行い、過去 10年を反省し、 事件の当事者たちと関連の人々に会ってみて座談会などを行い、この事件の円満な解決を期待して見たい。

《ペスカマ》号事件 10周年迎え、輝南県で座談会

今年は世人を驚かした 《ペスカマ》号船上殺人事件が発生してから 10年になる年だ。 これに 《ペスカマ》号事件の主要人物である、 現在、韓国の監獄で服役中の死刑囚全在千の故郷・輝南県では、朝鮮族の有志と社会団体の参加した座談会があった。

去る 4月 22日夕方 6時 30分、 輝南県朝鮮族老人協会、朝鮮族学校の指導者、朝鮮族幹部たちの参加した座談会があった。 この日、わざわざ 韓国から来て全在千の家庭を訪問中の韓国刑務所在所者後援会・朴三中会長は 《ペスカマ》事件の過程を話し、全在千の故郷の人たちに 全在千の現況と事件処理の状況を話した。 朴会長は次のように語った。 今の全在千は目がきれいで人格のある人に様変りした。 30回余りの面会と 300通余りの手紙を私に書いた人であり、自分のすべての俗心を私に打ち明けている。 全在千の手紙を受けてお金を中国に送ることもできたが、 直接全在千さんの年老いた母親に会い、愛する子どもたちに勇気を与えようと思って来た。 死刑宣告を受けてからも親孝行し父の役目を果 たそうとするその心が、どんなに人を感動させることか。

中国にいる朝鮮族と韓国人がお互いに力を合せて、全在千が早く親の胸に、子の傍に帰って来る日を作ってあげなければならない。

座談会で輝南県の朝鮮族たちは全在千は中国にいる時、あまりにも善良で親に親孝行し、法がなくても生きて行ける人だったと話し、 全在千の故郷人たちの懺悔とお詫びの心を韓国の被害者遺家族に伝えることを要求した。

元・輝南県朝鮮族中学校校長である金ソンマン先生は、全在千は私の学生だったし後にはある学校で教員になったとし、全在千は事業心が 強くて人を助けることを楽しむ人だったと語った。 それとともに事件発生 10年が過ぎた今日、同じ民族でお互いに痛みを加えずに縛られた 結び目を解き、和合の道に出て美しい話を作ろうと述べた。

老母と間もなく結婚式を挙げる娘たち

今年 82歳の全在千の母は、今、次男・全チェスの家で生活している。

元々は長男である全在千の家にいたが、 《ペスカマ》号事件発生の後、全在千の家庭が散らばってしまったため、次男が老母の面倒を 見ている。老母が衝撃を受けると思って、事件当時は知らせてあげなかったため分からなかったが、 3年前から分かるようになり、 しかし 今も具体的な状況は分からない状態だ。 事件発生の後、節日や母の誕生日、全在千が韓国釜山拘置所から電話をかけると、息子が韓国で労務 中だと思っている年老いた母は、息子が毎度電話で泣くと、どうして泣くのかと叱ったが、事実を知った後からは毎日涙で歳月を過ごしなが ら、在世に愛する長男に一度だけ会ってみることを期待している。 事件発生の時、全在千の二人の娘は中学校に通い、息子は小学校に通ってい た。 事件発生の後、家庭がこなごなに壊れたが、学校と社会の支援、韓国の多くの民間団体の支援で、姉娘は延辺大学を卒業し、南方の外資企 業に勤務中で息子は今、長春ラジオテレビジョン大学で勉強している。 韓国釜山拘置所で死刑待機中の全在千は、経常的に子供達に手紙を書き、 電話をかけて懺悔をしながら自分の代わりをして被害者遺家族にお詫びすることと法を守る模範になることを子どもたちに要求している。

全在千の二人の娘は去る 2004年 6月と 2005年 6月、韓国人権団体の支援とと全在千の招請で韓国へ行き、一ヶ月ずつ滞留、その期間釜山拘置所 に行って父に何回も面会する幸運も得た。 今年 5月 1日、全在千の二人の娘は叔父である全チェスの家で結婚式をあげることになる。 親がいな くて家庭が破綻した中、暮して来た全チェスが年頃の姪たちの結婚を祝ってやるのだが、結婚式はなく、親戚、友達が集まって簡単な酒宴だけ 調える婚礼だ。

《父さんの代わりに宴の祝福に来ました!》

韓国釜山拘置所で死刑待機中の全在千の二人の娘の結婚の日を控え、韓国刑務所服役者在所者後援会・朴三中会長が 4月 22日午後 2時 10分、 飛行機の便で長春に到着した。

韓国で死刑囚 300人余りに会って教化させ、 1968年に日本で金嬉老事件が発生した後、日本へ 50回余り通いながら 1999年度に金嬉老を韓国に 連れて来ることに成功した朴三中会長は、1967年から刑務所に通いながら死刑囚に会って彼らを教化させることにおいて大きな業績を積んだ。

長春で全在千の故郷である輝南へと走る列車で、朴三中会長は全在千の状況を紹介した。

朴三中会長は 10年間、全在千に 30回余り面会し、全在千は朴会長に 300通余りの手紙を書いて懺悔する中、心の中の言葉も隠さずに打ち 明ける関係になった。

数日前、朴三中会長は 《会長様、お金 100万ウォン貸してください》という全在千が監獄から送った涙ぐましい内容の手紙を受け、今日の こんなに忙しい中国行を決心したのだ。

愛する二人の娘の結婚の日を控え、死刑囚が監獄で父の役割を果たそうとするその心に、あまりにも感動し、私が行って代わりに父の役をして、 年老いたお母さんに会って息子役の代わりをするという、有難い心を持って中国行を選択したのだ。

まともな人々でも子を捨てる事があるのに、監獄で父の役割を果たそうとするその精神がどんなに尊いものだろうか。私はその精神に惚れて今度 の事を選んだという朴三中会長だ。

午後 5時 40分に輝南県朝陽鎮にある全在千の弟の家に到着した。 前在天の母は朴三中会長の手を握って泣き喚き、朴三中会長は、 必ず全在千の手を握ってお母さんの前に連れて来て再会させる日を作るから、いつまでもいつまでも長生きするように願うと、全在千の母を慰め ながら代わりに買って来た服一着を出した。

そして全在千の姉娘には手ずから作って来た金色のハンガーをかけ、結婚を祝うと(次女は南方から到着することができなかった) これはお父さんの 心だからしっかりと受けなさいと言った。 そしてお互いに会う日が必ずあると励ました。

* 海を越えて釜山監獄から届いた全在千の結婚祝いの手紙 - 意味ある生の出発点になれ

愛する私の娘・リョヒェ、リョホン、よく聞きなさい。

お父さんだ。 今日は喜ばなければならない日なのに、どうしてこんなに胸の中がガランとして空しいのかわからない。

君たちの結婚式にも参加することができない父の心を何とも表現することができないね。 君たちの心情もさぞ大変だろう? すまない、 娘たちよ、 恐れ多いが、この場から心より君たちの結婚を祝福する。

これから二人は一身になり、同じ目的に向けて人生という、この甘くも厳しい道を歩いて行くことになったね。 この美しくもあり険難でもあり、 楽しくて難しく、難しくてもその意義が深い歴史的な道を歩かなければならなくなったね。

君たちが家庭を成し、天地が万物を育てるように、子孫を養育して意味ある生の出発点になるように祈る。

もう君たちの 3人の兄や姉は結婚し、各自の家庭を作っているだろう。 たとえ身はお互いに分かれていても、これまでのように兄弟間の仲のよい 友情を守って行き、一生をお互いに助けお互いに頼りながら幸せに生きて行ってほしい。 この父の希望はただそれだけだ。

君たちの結婚を祝う意味で結婚記念品に私の心を込めて送る。 記念品は朴三中会長様が大金をかけて真心をつくして特別に作って 下さったものだ。 会長様の深い心と有難いお気持ちを一緒に感じてほしい。

終りに君たちの幸せを祈りながら、これで筆をおく。

祝い、ヒェ、ホン:幸せに!!

2006年 4月

父が釜山より

(吉林新聞 2006年4月30日)
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