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[特集] 朝鮮族学生が漢族学校に通う現象


▲ 延吉市朝陽小学校朝鮮語文授業クラスの室外授業 (キム・ソンゴル記者)

近年、延辺の朝鮮族小中学校の朝鮮族学生たちが、大量に漢族学校に通う現象が生じ、またその度合いが既に 手のつけられない程にひどくなっている。

これは朝鮮族人口のマイナス成長、沿海や国外への移動、農村の朝鮮族学校減少などによって学生の流失と減少を 抱えている朝鮮族の小中学校には非常に深刻な問題であり、弱り目に崇り目といったところだ。

この現象が民族教育に与える影響とこれに対する確かな対策や研究が急を要しているにもかかわらず、今だに関係部門 や朝鮮族教育界そして学界と朝鮮族社会で、これといった動きが見えていない。 ただ一部の朝鮮族学校がそれぞれに 探求と対応を試みている姿がチラホラ見えている。 まるで流れる川の水に防波堤がないかの如く、次第に枯渇して 行く学生たちを眺めてばかりいる姿とでも言うべきか...。

延吉市の漢族学校だけでも朝鮮族学生 3000人

朝鮮族学生が漢族学校に大量に通う現象は、中国最大の朝鮮族密集地である延辺で非常に深刻だ。 記者が該当の部門で 調べたところによれば、確かな統計はまだないものの、今、延辺でも朝鮮族が一番集中している延吉市の場合だけを見ても、 漢族学校に通う朝鮮族学生が 3000人を上回ると言う。

3000人!

これは在籍生徒数が千名以上にもなれば比較的大きな朝鮮族学校とすれば、延吉市から三つの大きな朝鮮族学校が消失した ということを意味する。

問題はこれに止まらず、漢族学校へ行く朝鮮族学生がますます増えているということだ。

反対に現在、朝鮮族学校に通う漢族学生はわずか 450人に過ぎない。

朝鮮族人口が少ない安図県の場合を見てみよう。 1995年までにしても、在籍が 2200人を上回った朝鮮族小学校の安図 県第1実験小学校では毎年、朝鮮族学生が減るうえ、何年かの間に学生たちが漢族実験小学校に大量に流失し、1998年からは 在籍生徒が僅か 700人にもならなかった。 その他の県市も流失程度が違うだけで、朝鮮族学生が漢族学校に流失する現象は普遍的だ。

漢族学校選好の理由:“中国で暮らすのなら、やはり中国語が上手でなくては”

朝鮮族の学生たちが漢族学校に行く主な原因は、中国で中国語が上手でなければ前途がないということだ。 したがって中国語をまともによく学ぶようにするためには、幼い時から漢族学校に行かせなければならないと言いながら、 子どもを進んで漢族学校に行かせている。

こんな退廃した風潮の最前列に、民族教育を一番声高に叫ぶ幹部や知識人たちが立っている、と延辺州のある朝鮮族教育専門家 は鋭く指摘している。 私たちが注目している現象は、公務員や知識人たちや知性人たちが、むしろ子供を漢族学校に 行かせる比率が多いというのだ。

延辺のある県の政府機関で要職にいる、ある朝鮮族幹部は、記者と朝鮮族学生たちが漢族学校に流失している現象を打ち明けて、 このように述べた。 “今日、私がこのように政界で活躍出来るのは、小学校 4年生の時、私を漢族学校に転校させた親の ‘英断’のおかげだ”として、 “今、小学校 4年生の息子を入学金を随分支払い、また一学年を落第させてまで漢族学校に 転校させた”と漢族学校行きを支持した。

彼は“朝鮮語・朝鮮文はある程度分かり、中国語だけは漢族に負けない程に上手であることが成功の道だ。 主流社会では中国語 が下手では、競争力が劣るからだ”と主張する。

現在、延辺には小学校 3〜4年生の時、漢族学校に転校させる場合が非常に多い。 こんな父兄たちの主張を聞いて見ると、 次のとおりであった。

延辺では朝鮮族の学生は幼い時から朝鮮語の環境が十分に与えられた。 そこで小学校 3〜4年生まで学べば、しゃべったり 書いたりする能力を相当に身につけるようになる。 あとは家で引き続き補うことにして、漢族学校へ行って中国語を漢族の 学生たちと一緒にしっかりと学ばなければならない。 そうすれば朝鮮語も分かり、中国語にも精通するようになる。

“攻撃は最良の防御”−安図小学校の中国語授業組

朝鮮族学校の土台が崩れる衝撃の防波堤の構築のため、一部の朝鮮族学校では中国語専門の授業組を開設して朝鮮族学生の 流失を阻んでいる。

安図県第1実験小学校では、漢族学校への流失を防止するための措置として、敢然と中国語授業組を開設して教育市場で競 っている。 この小学校では 1999年から二重言語の授業をする一方、延辺地区で初めて、朝鮮族学校の通用教材を全て放棄し、 漢族小学校の通用教材を全面的に導入した。 そして県内の 25才前後の若くて覇気ある県・州の優秀な漢族幹部教員を 3人招い た後、朝鮮語科をそのまま主たる科目とすることを基本にして、中国語科を取り消して漢族学校語文科学を設置、 英語も 漢族教員が教える 2つの漢語授業組を開設した。

この改革実験をした後、漢族小学校に入学しようとしていた漢族幼稚園の漢族組の朝鮮族の子供たちのほとんどが、安図 県第1実験小学校に帰って来たと言う。 そして漢族組の漢族の子供たちまでも、朝鮮語をさらに学ぶことが出来るというの で、この学校に入学するという新しい現象も作り出した。

中国語授業組−効果的な対策の一つ

安図県第1実験学校だけではなく、現在、汪清県第2実験学校、そして延吉市にある一部の朝鮮族学校でも何年か前から本格的 に中国語授業組を開設し、漢族教員を招いて競争力を高めている。 こんな学校をよく見れば、何年間かの努力を経て学生数が 安定した成り行きを見せており、これは延辺の朝鮮族学校の学生流失を阻む効果的な対策の一つとして認められている。

延辺州教育研究所のある専門家はこのようにに言う。 朝鮮族学校での中国語授業組の開設は、朝鮮族の学生たちには漢族学校の ように漢族教員から中国語をしっかりと学ぶことができるだけでなく、朝鮮語もしっかりと学ぶことができるというメリットが あり、漢族の学生たちには、中国語はもちろん朝鮮族学校という言語環境の中で朝鮮語文をしっかり学ぶことができる機会が 得られるために選好される。

朝鮮族の学校で漢族の教師をあまりにも多く受けると、漢族学校に変わってしまうのではないかという憂慮に対し、安図県 第1実験学校のジュ・ヨンサン校長は “去年、英語教員を網羅して、合計 14人の漢族教員を招いたが、全教員の 3分の 1 以 内に統制している”と言う。

漢族小学校は朝鮮語科の設置で対応

朝鮮族学校で中国語授業組を開設した後、延辺の一部の漢族学校では朝鮮語文科を増設し、朝鮮族学校から優秀な 朝鮮族教員を招聘することで、朝鮮族学校の中国語授業組開設に対抗している。

延吉市では朝陽小学校、進学小学校など、いくつかの学校で朝鮮語文科を設置している。 なかでも 1年生から 4年生 までしめて 22クラスに朝鮮語文科を設置した朝陽小学校では、朝鮮語科を増設するのに先立って学生、父兄、教員たち を対象に幅広い調査をした。 その結果、朝鮮語を学ぶつもりはないという学生は僅か 0.5%の7人、朝鮮語文科開設 に賛成しない父兄は 0.8%にしかならない 8人のみ、そして全校の教職員たちは 100%が同意した。 こんな状況により、 朝陽小学校では朝鮮語文科を初めから主たる科目と決めて、クラスごとに毎週 3時間ずつ教授時間を配置した。

延辺州のある教育部門関係者は “率直に言えば、朝鮮族学校は漢族学校に比べてこれといった競争力がなく、これまで 過去に安住して時代に合わない教育をして来たため、吸引力が弱くなった”と批判した。

子供を漢族学校に行かせるという、ある 40代の父兄は、朝鮮族出版機関で働いているが、単刀直入に言う。 “今も朝鮮族学校に学生を送れば民族心があり、漢族学校に行かせれば民族心がないなどという論理に安住して、強迫 ばかりしていたのでは、朝鮮族学校はますます競争力を失う。 多くの朝鮮族学校の学生たちが読書レベル、教員の資質、 学生たちの学力は、漢族学校より劣る。 語文と作文だけ見ても、差が歴然としている。”

漢族学校の朝鮮語科設置は、朝鮮語の地位が向上したことを証明する好ましい現象と見なければならないという主張が多い。 しかし一方、結果的には、これまで朝鮮族学校の最大のメリットだった朝鮮語科が、もはや決定的なカードの役割を果たせな くなり、に朝鮮族学校の競争力が弱くなっていることだけは事実だ。 結局、市場競争時代での勝負は競争力の強い所が吸引 力が強いものと決まっている。

自体の競争力向上が結論

延吉市教育科研究所の李ヨンシク所長は、“延吉市の場合、朝鮮族小中学校で勉強している漢族の学生数は、現在やっと 450人にしかならないが、漢族学校に通う朝鮮族の学生は 3000名にもなる、ほぼ 10倍の規模という事実を直視しなければ ならない”とし、 “カギは朝鮮族中学校で、どれだけ中国語の授業を強化し、教師の質を高めるかにある”と述べた。 あ る有名な朝鮮族高の副校長はこのように言う。 漢族の学校に通う朝鮮族の卒業生たちが、優秀な成績で名門大学へ行ったり 社会に進出した後、朝鮮族学校の卒業生より目に見えて成功率が高いという証拠がまだない。 むしろ何年も朝鮮族中学校か ら北京大学、清華大学をはじめとする名門大学に受かる比率は、朝鮮族学生を含む漢族学校の学生たちを絶対的に圧倒してい るという事実は、朝鮮族学校の競争力の優位を証明する有力な証であると。

延吉市教育研究所の専門家たちはこのように主張する。 “私たちは時代の特性を考慮しなければならない。 朝鮮族学生の中国語の弱さは、当時、中国語を軽視する風潮から生じた結果だ。 しかし現在、朝鮮族学校と父兄たち が中国語を重要視し、卒業生たちが主流社会に出て適応をしっかりとやっている。 中国語をしっかり学ぶためというたっ た一つの理由のために漢族学校に行くという選択は、結果的に得よりも損が多い。 イノシシを捕りに行って、家の豚を盗ま れるようなものだ。”

一部は漢族学校に朝鮮族学生が大挙して通う現象は、爆弾のように、これまで小さな世界で井の中の蛙だった朝鮮族学校の 教育に反省と発奮の新しいきっかけを与えたと認め、 災い転じて福となすこともできる“と主張する。

家の豚も捕ってイノシシも捕らなければならない。 そのためには朝鮮族の教育界は、朝鮮族学生が朝鮮語もしっかり学べて 中国語もしっかり学べる二重言語の教師を捜し出さなければならないだろう。そうすれば漢族学校に行く朝鮮族学生を減らす ことが出来るだけでなく、むしろ漢族の学生たちまでも朝鮮族学校に押し寄せることになるだろう。

朝鮮族学生が漢族学校に通う現象は、挑戦と同時に機会だ。 この危機と機会を賢明に克服すれば、朝鮮族学校の未来は輝かし いものになるだろう。   

(延辺日報 リュウ・イルソク記者 2005年8月27日)
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