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[社会] 朝鮮族の文化を蔑む韓国

イ・ミョンジャさん(仮名、65)は中国吉林省でご主人と農業を営んでいたが、1999年に一人で韓国へ来て、 ずっと住み込み家政婦として働いている。イさんは韓国のある朝鮮族移住者たちのための教会で、 在外同胞法を改正する運動に主導的に参加した。 2004年初めてイ・ミョンジャさんに会った時、 中国朝鮮族と韓国人の関係と関連した民族問題について韓国政府を非難する話を一つ一つ聞き、 強い印象が残った。

イ・ミョンジャさんは中国でご主人と農業をしながらの生活を続けるのは難しくはなかったという。 .しかし息子が結婚をして、都市でお金を稼ぐようになると生活を維持しにくくなったため、嫁が東南アジアへ移住し、 多国籍企業で働くようになった。 イ・ミョンジャさんは、嫁と息子を一緒に暮すためには、 自分がお金を稼いだ方が良いと思って韓国に移住したのだと言う。多くの場合、 朝鮮族の女性たちは“子を大学に行かせるため”韓国に移住したというが、イ・ミョンジャさんも 家庭内の主な収入のためというより、子に関するお金を稼ぐために移住したという点が共通だった。

イ・ミョンジャさん以外にも中国に夫がいて、韓国に移住して住み込み家政婦として働く中老年の朝鮮族女性たちは、 大部分自分の生活条件を改善するために生活の激変を受け入れることができる柔軟さを 持った女性たちだった。イさんは1990年代に韓国に行ってお金を儲けて成功することに対する熱望が、 朝鮮族社会にどれだけ大きく広がっていたかについて話した。

“楽に農業をすれば暮らせるし、服をもっと着飾ったとしてそれが何なのか、この程度食べて この程度に暮しても中国社会では許されない人とさえいわれなければ暮すことができるのに、 韓国から送金したお金で暮す朝鮮族の生活水準が高いから、それをみんな羨ましがって。”

イ・ミョンジャさんは当時、党員たちに党体系を説明する月刊パンフレット<党生活集>が最初 の部分で韓国を紹介していて、“韓国は中国より一世紀先に進んでおり、さらに発展した 生活をしている”と説明したが、それを見て韓国の発展した姿を羨んだという。これは中国が 資本主義市場経済を受け入れる過程で西欧的な近代化を‘先に’成した韓国を、より発展した 国と位置付ける流れの中で朝鮮族の移住が成り立ったという事実を見せてくれる。

“教養ある”韓国の中産層家庭に適応して行くこと

イ・ミョンジャさんはインタビューする時、非常に高級に見える黒い色ワンピースを着て、 きちんと化粧をしていた。その服はイさんが最初に働くようになった家でくれた、高価な服の一つだった。 “年に比べて若く見える”と言う言葉で対話を始めたら、イ・ミョンジャさんは、韓国でそれも“生活水準が 高い”家で働くと、農業ばかりしていた黒く日焼けした顔とガサガサした手、そして豊満な体などが邪魔 になり、韓国へ来て外貌をいろいろいじった結果だという。

“ある日、あるおばさんが私を見てこう言いました。 ‘おばさん大変でしょ、大変でしょ、その家の 仕事がすごく大変です。そのためその家にいるおばさんが頭をあげて通うことははなかったんです。 ’それを聞いた時、お手伝いさんがこんなことをしていると、この家の社長が願いを聞いてくれるんです。 それでその次から化粧したら、奥様が化粧品をくれたんです。それで私はこれで化粧しますね。 それがこうなるんだよね、化粧しなければならない、そしてその次からは私はきちんと化粧したんです。”

イ・ミョンジャさんが化粧をしてきちんと服を着るのみならず、適当な身なりを維持しようと努力し、耕作人のようには見えな いように顔や手などを作ること、そして身の清潔を維持しようと努力することなどは韓国人家庭で働きながら身につけた多くの 規律の中の一つだ。韓国人の雇い主たちは朝鮮族の住み込み家政婦たちが“汚くて教養がない”と言う 態度を見せるが、これが朝鮮族の女性自ら韓国人中産層家庭の‘生活水準’に受け入れられるように 自らを変化するようにさせる。朝鮮族の女性たちが住み込み家政婦の仕事に適応する過程は、 このように‘朝鮮族が持っている態度’を劣等視しながら、韓国人家庭で要求される文化的基準に 合わせて行くことを意味する。

食事と料理を取り巻く文化的差異と葛藤



このような過程は、特に食事を準備する時に韓国人雇用主とぶつかることで見られる。 イ・ミョンジャさんは自分が韓国に初めて入居していた弁護士夫婦の家で、たまに中国料理を してくれといわれて糖水肉やジャジャン麺を注文したが、これらが中国料理に対していかに知識がないかについて、 批判した。

ある時、その家で働く人々を接待しなければならないことがあり、中国でいつも作って食べた ニラと卵で作った食べ物を与えたら、後で夫人が、そのようにおいしい料理を作ることができたのなら、 どうして今までしなかったのと不平を言っていたというのだ。イさんは“韓国では中国料理が高級料理を 指す時もあるが、朝鮮族女性が作る中国料理と言えば、安くて油っこくて体に良くない料理ばかりを思い浮かべる”という。

料理についての雇い主と朝鮮族家政婦双方の不満は、一般的なことだ。二人の息子を育てながら朝鮮族女性を 何度も家政婦として雇って見たという韓国人女性キム・ヘウ ォンさん(30代)は、現在一緒に居住する朝鮮族のおばさんが“朝にてんぷら料理をすること”が一番 大変だと言った。.作って片付けるのが不便なだけでなく子供達の健康に良くないし、 消化の悪い食べ物を準備することに不満というのだ。韓国人家庭で朝にてんぷら料理を食べないのは、 韓国人の忙しい朝の日程と、‘健康や肥満を心配する文化’と係わりが深いため、 朝鮮族女性には疎いものがある。それで朝鮮族の文化を‘科学的に栄養成分を考慮して 食事を取る’合理性が欠れているなどと考えてしまいがちだ。

キム・キョンオクさん(仮名、 39)はイ・ミョンジャさんの娘で、母が韓国に来た後、イさんを手伝うために 韓国に移住し、韓国人の夫と結婚、現在ソウルの繁華街のある食堂で働いている。過去、イ・ミョンジャさん が自分が働いていた所の階下に住んでいた教授夫婦が比較的若い住み込み家政婦を頼まれたので 娘のキム・キョンオクさんを紹介したが、何ヶ月間かその場所で働いた経験を“無惨だった”と 表現しつつ、一つの事例を紹介した。

“韓国料理が作れないから、その家に元々いたお嬢さんが教えてくれたの。そして その家に料理の本があったの。本当にきれいな料理の写真が入っている料理の本だったので、それ見 て学んで.私も努力はしたの。ある時、その家で夜中にラーメンを作りなさいと いうの。沸かした水を捨てて、また沸かしなさいという。あの時はそのままそう したのよ。ところでそれが、なぜなのか分からないの。どうして捨てなきゃならないのか、 そのまま沸かしたらダメなの?といったところ、そのお姉さんが見て、怒ってそのラーメンを そのまますべて捨てるの。それでとても頭に来たけど、頭に来ても何も言わずに部屋に 入って行ってしまったの。するとちょっと後で、下りて来なさいというの。私が涙を流している と、(お姉さんが)ラーメンを子どもが太らないようにちょっと油気を抜いて食べようとしたのよ、 怒ってごめんなさい、というの。そして、どうするのかやって見せてくれたの。”

キム・キョンオクさんは付け加えて、韓国人家庭では朝を殆ど食べない一方、就寝時間直前にピ ザを作るとかラーメンを作って食べるのは理解できない事だという。これは 一方では食事の文化が、単純に料理をどのように作って食べるかだけではなく 、生活文化全般と緊密に係わっていることを示している。夜食でラーメンを作る時に 少しでも油気を抜いて食べるために努力するというのは、キムさんにとってはほろ苦い笑い話だ。 ‘油気を抜いた夜食ラーメン’は、韓国の都市中産層文化が肥満防止に気を遣うとともに、 夜おそくまで活動するなどの‘特殊性’を持っていることに起因している。問題は、 韓国人が自分の生活文化を‘普遍的に見える近代化された生活の姿’として当然だなどと考えている点だ。

“ご機嫌を伺わなければならないことが一番大変なの”

韓国社会が、朝鮮族の住み込み家政婦たちが韓国人の文化を受け入れるのが当然だ などと考えるのは、 ‘面倒’ばかりからなる‘家事労動’の特性と係わっている。 面倒な労動をする人は面倒の対象が願うこ とを予め気付いてそのまま行動しなければならない。面倒を見てもらう人々が願うのは、他人 の面倒によって、現在の自分の状態が維持されることだと言える。したがって朝鮮族の 住み込み家政婦が自分の仕事をするためには、その家のすべての生活文化に自らを合わせ なければならない。韓国人家庭で朝鮮族女性たちの文化は同等に考慮されることができず、 これは韓国人の雇い主が自分の文化に基づいた生活を邪魔されずに維持するためにお金を 与えて住み込み家政婦を雇ったと考えているからだ。



韓国人の雇い主たちは、朝鮮族の住み込み家政婦に仕事をさせる時にも、 自分の願うところが正確に何だと言わない場合が多い。朝鮮族の女性たちは雇い主が 仕事を直接的にさせることはあまりなく、ただ仕事の結果に対して気に入らなかった時だけ 指摘を受けると言う。彼女達は雇い主が理不尽に怒る時であっても、彼の気持ちに合わせ なければならないし、それは彼女達が行う労動の一部のようにすらなっている。

この過程で朝鮮族の女性たちは、職場で相手の気持ちを先に気配りしなければならないし 、いつどこでどんな他の仕事をさせられるかも知れない状況なので、 いつもご機嫌を伺わなければならない。キム・キョンオクさんも“ 教授夫婦が悪い人々ではなく、それなりに合理的な人々だったが、 いつも機嫌を伺わなければならない状況が嫌いだった”という。韓国で住み込み家政婦として 働いて見た経験がある朝鮮族女性の大部分は、一番大変だった点については、 “他人の機嫌を伺わなければならないこと”や、 “屈辱的な状況が大変だった”と言う。

“他人の家の仕事をしてあげようと思えば、その暮しをすべてきちんとしてあげなければならないのに、 それをすべて受け入れることができないでしょう。いくら暮し上手な 人々でも、ある時にはいくらきちんと出来ても、毎日バッチリとは行かないのではないの? 自分の家庭でも、自分の家族たちと住んでいても、いつも良い時ばかりではないでしょ。 それを受け入れようと思うなら、あの時はただ私が年上だから、エイちょっと辛抱しよう!、 と思うから出来るのであって、それでもすべて金儲けだけのためにそこまで出来ますか? 私たちはいつも腹をくくってそうしています。”(イ・ボクチャさん、 68歳)

面倒な労動は社会的に卑下されたり、無視されやすい。もし、ある名門家の前途有望な子、 あるいは青い目の大卒のアメリカ人が来て部屋を磨いて くれて食事を調えてくれれば、気を遣って彼らに丁寧に対応してくれるかも知れない。 ところが‘ある人々’がしてくれる面倒な労動は、自然に受け入れる。それはその 人々がそんな事をすることに相応しいと思うからだ。朝鮮族の女性たちが持っている ‘他の文化’を‘教養がないこと’と解釈するのもそんな例だ。韓国人は朝鮮族の住み 込み家政婦を韓国人より‘教養がない’ ‘近代化された生活に慣れていない’劣等な民族性を持っていると思っている。

家政婦の仕事、朝鮮族の文化を蔑む韓国

イ・ミョンジャさんに何が一番大変だったかと聞いた時、イさんはお金が尽きた時とか、 全く休みなしに働経験に対して話した後、終わりに“英語ができないこと”であったといった。 英語ができないことが、アイロンがけをして家を掃除することと何の関係があるのか。

“何故ならばみんな英語を勉強するのに,、(一度は)その英語の本を整理すると、またどこ かに行って整理しておいたの。末っ子の部屋に本を整理しておいたら、二番目 の子の英語の本がないという。それでは私はたまりません。社長がこ れが何の英語の本かと聞くの。何の英語、何の英語の本が何やら、どうして私にそんなことが分かりますか。 その次には本をすべて調べて、これで子供が泣いて、私も何回か泣いたんです。そんなわけで 私はあの頃、あるインタビューで、生活水準が高い家のお手伝いさんは(何の資格が必 要なのかと問われた時) ‘、何も必要ないです、でも最近は英語を話せて、それなりの水準に ある人が入って行かなくちゃいけない’と言った事があります。”

英語が分からないことは、そのまま自分が働いた家庭の水準に合わないことを意味し、 イ・ミョンジャさんにとってこんな待遇に耐えなければならないのも当然だと思わせた。 中国の開放改革の波の中で、韓国の近代化された生活の姿を既に‘もっと発展したこと’と考え、 韓国人の家庭に入って来て自分が持っている生活習慣を劣等だと思う韓国人たちの態度に 直面したイ・ミョンジャさん、彼女がいつも化粧をしっかりして気高い身なりで清潔と外国語 に対する知識を重要視するようになったのは、無理もないことだ。

イさんの事例を通じ、私たちがよく考えなければならないことは、面倒な労動をする人を蔑む文化と、 朝鮮族女性たちの文化を低く評価する韓国人たちの態度だ。.

(イルダ 2005年3月1日)
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