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"面"的国際理解の重要性 [2006.04.25]  


別に難しいことを言うつもりはない。至極当然のことだと思うのだが、国際関係というものは 盤根錯節した複雑怪奇なものである。1939年、平沼麒一郎内閣が「独ソ不可侵条約」締結 について「欧州の情勢は複雑怪奇」と声明を出して総辞職したのは有名な話だが、非常時で なくても様々な国々が合従連衡を繰り返す様は、まさに「複雑怪奇」といえる。 しかるに日本の言論を見ていると、国際関係を一国と一国の直線的な関係に限定して論じよう とする傾向があまりにも強く感じられる。判りやすく説明するための単純化なら便法の一つと して勧奨される場合もあろうが、単純化された推論から導き出された結果のみをもって決定を していると、必ず落とし穴に嵌る。 日本が韓国や中国とだけお付き合いしているわけではないのと同様に、韓国や中国も日本と だけ付き合っているわけではない。これらの国々にとっても、日本との交流は国際交流の中 のほんの一部に過ぎないわけなのだが、日本の言論は不思議なほどに日中・日韓関係のみ に限定して論じようとする。あたかもこれらの国々の死活問題を日本だけが握っていると錯覚 でもしているかのように。 先日、インドの投資セミナーがあったので参加して来た。折からのインド株ブームで、注目が集 まっている矢先だっただけに、参席者も多かった。しかし、講演者は日本人もインド人も日印関係 の歴史や現状ばかりを論じ、他の国々がインドへの投資・進出をどのように進めているのかに ついては何らの言及もなかった。 よく考えてみよう。インドを見つめているのは日本人だけではない。もともとは英国の植民地にも なっていたわけで、欧米人が彼らなりにアプローチし開発し収益を挙げ、そして去る者は去った。 日本人よりもフットワークがはるかに軽いという中国人や韓国人も、当然に注目し、日本人より 先にいろいろな調査・試図を試みているはずである。成功した者は事業を拡大し、失敗した者は 既に撤退したはずだ。彼らがインドにどんなアプローチをし、どんな経験をしたのかにつき、これ から進出を検討する者の立場として、当然に参考にすべきことであるはずだ。 もちろんインド政府・企業としては、過去の投資が失敗して穴の空いた部分にこそ、日本からの 投資を呼び込みたいというニーズが強烈にあるはずだ。別に騙す気はないとしても、「日本なら 資本力に任せて何とかしてくれるに違いない」という期待感からそうしているかも知れない。 しかし穴が空いてしまっているには、それなりの理由や背景があるはずであり、奨められたから というだけで安易に飛びつくことがいかに危険であるかは、常識人なら判るはずである。 北朝鮮と日本の関係にも似たようなことが言える。日朝関係を戦後補償や核ミサイル、拉致問題 という加害者・被害者の関係だけでとらえ、そこから派生する感情的な敵対意識、そして「敵の 味方は敵」というあまりに単純な発想だけで中朝関係をとらえていると、北朝鮮の動きを先読み することなど、不可能である。 中国に経済的な支配を許し、中国のエネルギー政策の流れの中、北朝鮮がどういった立場を占 めて行くのかについての正確な理解なしに、日朝関係の正しい姿も見えては来ないはずだ。 この「朝鮮族ネット」を拝見し、日本の言論に欠けている最も重要な視点を補ってくれている ように感じた。多国間関係の面的な把握にとどまらず、歴史問題という座標軸を導入して 立体的な次元で東アジアの流れを冷静に分析するに必要な材料を豊富に提供してくれている。 感謝するとともに、今後の発展に期待したい。
(K.A)

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