21世紀朝鮮族の定義とパラダイム [2006.02.04]
劉 京宰Ph.D.(アジア経済文化研究所)
1、課題の背景
@分布の変化 A意識の変化 B認識座標の変化 C21世紀の巨大変化 D二つのベクトル
2、朝鮮族定義のパラダイムシフトは必然
@多くの国に拡散しているコリアンを中国というカテゴリで説明するのはナンセンス
A韓国内コリアンとの差異を中国人的アイデンティティでは説明しきれない
B在外コリアンの融和とネットワーク化は自然発生
C歴史的転換期における朝鮮族
D平和と地域社会への貢献も必然
3、朝鮮族アイデンティティへのアプローチ
先行研究に拘らない発想が必要
@「個人」と「集団」の関系から
A「固有性(出身地域)」と「現在性」の問題
B「大衆性」と「主体性」の関系から
C「自覚」はアイデンティティなのか
4、朝鮮半島北部の環境と歴史概観
@図門江、鴨緑江流域の原住民史
A朝鮮北部に対する地政学的分析
B長年続いた朝鮮時代の北地域への差別政策
*歴史的に階級の差異が固定化される
5、離脱(脱北)の視点(中国の視点から)
@朝鮮半島北部と脱北の歴史、A脱北の種類 B歴代国家の脱北問題への処理方針
6、朝鮮族アイデンティティの性質
@儒教文化と朝鮮族アイデンティティ A朝鮮族コミュニティの特性と方向
7、総括(仮説)
今まで朝鮮族のアイデンティティが「中国人的アイデンティティ」に固定されて論じられたのは初歩的ミスで
ある。(中国出身)朝鮮族と韓国出身者たちの本質的差異は、異質なアイデンティティの差異ではなく、同じ
民族文化の地域間(階級)の差異である。朝鮮族は民族的アイデンティティにおいて、本質的に朝鮮半島と
同一である。しかし、納得する根拠を提出するには、広範囲な出身地域別の比較研究が必要となる。朝鮮族
の定義(アイデンティティ)に関する探求は、重大かつ緊迫した課題であり、ここ数年内に研究成果を挙げる
ことが望ましい。しかし、この作業は、多くの分野に跨る作業であるため、多数の研究者が参加するチームの
結成や地域間協力が必要とされる。
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