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◆ [参考]ジャーナリストの目で見るおいしい徳島
記事No/ 21 (親記事)
投稿者/ 風来坊
投稿日/ 2003年2月12日(水)07:11
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平成11年度 国際観光交流促進ワークショップ

基調報告「ジャーナリストの目で見るおいしい徳島」

ジャーナリスト 安藤エリザベス 

ニューヨーク生まれ、アメリカ育ちの私が、約三十数年前、日本に参りまして、初めて本場の和食と出会いました。やはり皆様は、大体外人ならば梅干しは苦手だろうなとお思いになるでしょうけれども、決してそんなことはないのです。私は梅干しと出会ってひとめぼれをしました。育った食生活とはあまりにも違いましたので、何でも珍しく、なんとなく惹かれるものがありました。

今思えば私は、若いうちに日本に参り、当時、自分では十分大人のつもりで、これからどうなるのかもはっきりわからないうちに、徳島県の隣の香川県に参りました。

私の初めの勉強は学校でではなく、商店街の八百屋さん、お豆腐屋さん、乾物屋さん、お魚屋さん等が私の最初の先生でした。言葉の学習と同時に、日本の風習についてのレッスンでもありました。結婚してからは、主人の家族に色々と教えてもらいました。特に料理上手のお母さんは私の良き先生でした。煮物、それに落としぶたをするとどんなによくできるのかという、落としぶたの良さ。漬物、そのぬか床の混ぜ具合。私のぬか床はなんと三十数年やっております。東京を留守にする間、留守番を頼むのも一つの仕事なんです。今はマンションですけれども、隣の方にはなかなか頼めません。何か臭く、自分の手でやらなければいけないものには、どうも慣れていないようです。ここでは身内の人もいるから言わないほうがいいかもしれませんけれども、ようやく主人がぬか床の世話をしてくれるようになりました。おいしいぬか漬がその後には出来るので、我慢してぬか床の面倒をみてくれています。

本格的なお料理の勉強は、柳原料理教室でお世話になり、今に至っております。今の仕事は、海外の新聞、雑誌などに英文で日本の食文化のよさ、特に伝統的なものを、隅々までというか、紹介する仕事になります。紹介ということにもいろいろな形がありますが、今日、特に注目していただきたいのは、ジャーナリストとして記事を書く上での紹介です。ちょっと言葉は悪いかもわかりませんけれども、ジャーナリストの力をどういう風に利用すればよいのかということを、今日の中心としてお話をしたいと思います。

皆様は今、実際に外国のお客さんと接する仕事をしておられるのではないかと思うのですけれども、これからもっとたくさんの外国人にこの徳島を訪ねてもらうためには、マーケティングが必要です。

まず、知らせるにはどうしたらいいのかということです。大勢の方々に徳島の魅力を知らせるには、色々な方法があるだろうと思いますが、先ほど申し上げたように、ジャーナリストの力を貸してもらうというのが、一つの手ではないかと思います。徳島の話題をどういう風に掲載すればいいかということは後ほど詳しくお話しいたしますが、その前に社会文化と深い関わりのある価値観と、それに伴う行動パターンについてお話をしたいと思います。

今、皆さんの表情を見ますと、いきなり異文化の話題に変わるのは何故なんでしょうかと、ショックを受けたように見えますが、実は重要なポイントなんです。私は長く日本に住んでおりますけれども、年に数回アメリカに帰ります。その都度、自分でも気がつくのですが、アメリカ人の価値観と行動パターンというものがあるわけです。

ですから、海外の新聞、雑誌のための取材をする時には、いつもその読者の気持ち、つまりあちらにいる方々の気持ちを頭に入れておかないと、うまくものが書けないのです。

皆さんご存じのように、日本人はどちらかというと集団を優先するというか、グループで動きますが、アメリカ人の場合は「個人主義」で、「個人」に重きを置きます。「個人主義」といっても大変広い概念なので、これを3つに分類します。「個人の自由」、「平等」、「自立」です。

その中で一番私が皆さんに注目していただきたいのは、「個人の自由」です。これが日常生活の中にも重要な概念として本当に生きているし、アメリカ人の典型的な行動の中にもよく現れていることなんです。

今日は飽くまでも観光ということで、この3点を観光旅行者に当てはめてみますと、まず「個人の自由」というのは“choice”(チョイス)、つまり選択の多さです。日本人の観光客ならば、一方的にこちらから用意をし、あまりチョイスがなくてもいいですが、外国の方、特にアメリカの方をお迎えする時には、つまらないチョイスでも結構なんですけれども、何かチョイスを与えないと、皆さんは喜ばないわけです。

最近「スターバックス」というコーヒーショップが、まだ四国には上陸していないと思いますけれども、東京あたりに何軒かあります。アメリカの場合は結構あちこちにありまして、空港内にも「スターバックスコーナー」というのが設けてあります。そちらに行きますと、コーヒーが何と10種類、さらに入れるミルクも、スキムミルクなのか、ハーフ&ハーフなのか、クリームなのかと、何しろ嫌になるほどチョイスを聞かれるわけなんです。ですから「コーヒーをください」と言ったら、まず「3種類の本日のコーヒーから何にいたしますか」と聞かれます。それからコーヒーの焙煎具合によってまた違ってきます。もちろんサイズ、それからお砂糖の種類も嫌になるほどたくさんあります。一杯のコーヒーを飲みたいだけなのに、あんなに質問をされるとびっくりします。でも一つの意味では選択の多さなのです。

次に「平等」というのは、これが非常に難しいのですけれども、例えば良い扱いであっても、他の人と異なった扱い、つまり特別扱いは、居心地の悪い場合が結構あるわけです。特に、外人だからどうのこうのというのは、非常に微妙な線なんですけれども、それはほとんど態度で読み取るわけです。非常に難しいでしょうけれども、平等社会から来る方々ですので、それも頭に入れていただければと思います。

それから、「自立」というのが、自分で計画、行動をしてみたい気持ちです。これが多分企画段階では一番頭の痛いことではないかと思うのです。というのは、企画というのは前もって用意することなのに、自立というのは反対です。「勝手にどうぞ」ということなんです。自分の気持ちでその場その場で決めると、「あっ、それもおもしろい。じゃあそれにしよう」とすぐに変更しますよね。ですからその変更を、特にパッケージツアーの中にどういうふうにはめ込んだらいいのかというのは、難しいチャレンジだと思うのですけれども、観光旅行者にしてみれば、自立してちゃんと自分なりのものというのが、一つの大事なポイントなんです。

観光旅行者は大きく二つのカテゴリーに分けられます。それは、インディペンデント・トラベラー、つまり自分なりの計画を立てて、自分なりの旅行をする人たちと、ツアーグループ、旅行会社の企画による旅をする人たちです。向こうでもツアーグループというのが結構あるわけですが、グループとして動きながらも、グループの仲間の一人でもあり、自分個人のことでもあるわけです。

インディペンデント・トラベルであろうが、グループツアーであろうが、その中には子供連れや高齢者、それから身体の不自由な人がいます。また特別な目的、ニーズを抱えている人もいるし、それから興味、趣味によってそれぞれ分かれてくるわけです。

例えばスポーツとか、美術工芸とか、そういうものに特別に関心を持っている人たち、これはスペシャル・インタレスト・トラベラーといいます。これがアメリカの場合ですと、どんどんどんどん広がっています。さっき申し上げたように、個人主義の社会の中ですから、みんなそれぞれ、自分なりのインディペンデント・トラベルの計画をすることになるのです。中でも、最近「食」の分野に人気があるようで、食を通して社会や文化を理解し、楽しむため、世界を旅行する人たちが増えています。

 

東京にある私の「文化の味」料理教室も、最初は在日外国の方を対象と考えていたのですけれども、この二、三年、随分海外からの申し込みが増えています。ほとんどの方が私の記事を読んで、興味を持って、それから申し込んだとのことなんです。ですからますますジャーナリストとしましては、その責任を重く感じるようになりました。

インディペンデント・トラベラーの場合は、記事が自分たちのプランを立てるうえでの良い情報になるようですので、最新情報でないとかえって逆効果になるわけです。競争の激しいツアーグループビジネスにとっても、記事が企画の段階でよいヒントになることもあるのではないかと思います。

ジャーナリストの力をちょっとお借りするという提案について一つ触れますと、私のジャーナリストとしての日本国内での仕事の99%は、日本の話題を英文で出すものなんですけれども、たまには違う仕事もあるわけです。青い目はしていないのですけれども、よく「青い目で見る日本」とかいう話題で、和文で時々出すこともあります。

「食生活ジャーナリストの会」という記者クラブがあり、その皆様と一緒に色々取材の依頼を受けますが、日本の取材の仕方と、アメリカの取材の仕方があまりにも違いますので、その違いについてもちょっと皆さんに説明しようと思っています。

アメリカでは、ジャーナリストが記事を書くにあたっては、まず“proposal”(プロポーザル)つまり、提案書から始まります。実績のあるジャーナリストでも、初めての相手ならば提案書を出します。今まで私もおかげさまで幾つか賞をもらっていますが、それでもプロポーザルの段階から始まります。新聞、雑誌の編集部にアピールするためには、提案書の内容に数多くのチョイスがあることが必要です。編集部ではそれぞれの事情があり、例えば、他の記事との兼ね合い、レイアウト等によって選ぶものが違ってきますので、本当につまらないと思うチョイスでも、全く同じような話題なんですけれども、あらゆる観点から説明しておきます。そうしないと編集部の気がすまないのです。

例えば「徳島」を話題にするならば、同じ「徳島」でもいろいろな観点、いろいろな話題を出さなければいけないということなんです。「海の幸」を中心に考えれば、鳴門の渦潮のワカメ、中林海岸の魚介類があります。「伝統体験」でしたら海部の大敷網、三好山城町の豆腐、こんにゃく、そばづくりの挑戦。徳島市内の工芸村にも和紙、藍染め等、いろいろな徳島があります。

それを読者が読んで行こうと思ったら、実際には足を運ばない人が多いだろうとは思いますけれども、念のため、私と同じ動きをやろうとすれば出来るようにしておかないといけないわけなんです。これが言葉の不自由な方、つまり日本語が出来ない方でも行けるようにしなければいけないし、今まで旅行はあまり経験がない方でも簡単に、問題なく行けるように工夫して考えておかないといけないものなんです。

異なった文化を楽しむために一番効果的というか、おもしろいものといいますと、それはやはり体験です。私は、この徳島で一つびっくりしたことがあります。前もって阿波踊りの資料はいただいていましたけれども、今朝早く、実際に阿波踊り会館を伺って、中に入ってみますと、すばらしいというか、本当に感動的な画面が周りにありました。でも、本当にびっくりしましたのは、実際にガイドの方の指導によって動いてみると、あまりにも身体が思いどおりに動かないことなのです。実際に音楽に合わせてみて、どんなに体力が必要であるか、それはまず体験してみないとわからないわけなんです。おもしろくても他人がやるものであれば、あまり自分には身近に感じられないのです。ですから、体験というのは大変効果的なもので、特に言葉のわからない人にはよいのです。

今の私の日本料理教室もそうです。実は私は8月から腱鞘炎で、皆さんは働きすぎだと言うのですが、ジャーナリストはよくなるものなんです。それでも包丁は何とか持っていますけれども、参加するような料理教室というのは、9月から一時止めています。うまくいけば、また1月頃から再開できるのですけれども、今のあいだは、試食会をたくさん開くようにしてます。

その試食会というのが、一度に十五、六人集まり、テーマを決めて行ないます。私の仕事は伝統的なものを紹介する仕事ですから、例えば味噌でしたら、20種類、皆さんに地図を見せながら地方とのつながりを説明して、それから味噌汁以外に応用の仕方がたくさんあるとか、味噌そのものはどういう風につくられているのかとかを語ります。

それと、何か背景にあるストーリー、そこと文化の深い関わりのある話になるので、皆さんはそれが一番おもしろいと、それから実際に自分の食生活を一つ広げたと喜ばれます。ですから試食というのは、味見だけではなく、背景にあるストーリーも含めての話になるので、身体全体、頭も含めて使うような体験になるわけです。

それから、資料のことについてです。外国人にとっては、日本語の名前がすごく覚えにくいのです。皆さんがよく丁寧な英文の資料をつくっておられるのですけれども、その際、お願いしたいことがあります。それは和文も入れてほしいということです。なぜかというと、人との会話の中で話題にでる時には、やはり決まった英語はないので、「こんにゃく」は「こんにゃく」となります。隣の土佐になりますと、例えば「かつお」というのは、英語では「ボニート」というのですけれども、私の教室に来る人に話したり、アメリカで講演する際に、「ボニートとは何ものであるのか」といっても、絵も描かないし、それが魚であることもわからない、ぴんとこない言葉なんです。ですから、どうせでしたら最初から「かつお」とか「こんにゃく」を覚えてもらうので、隣に和文も載せてほしいのです。

私にしてみれば、やはり覚えるには、子供と同じように何か一緒に見ないと、なかなか覚えられないのです。ですから一番親切であるのが、元の和文があることです。それに皆さん、大抵日本語の勉強が始まるのはひらがなですね。かえってカタカナのほうが苦手なんです。「ツ」と「シ」の区別がまずつかないですし、「ン」と「ソ」というのがすごく難しいのです。

ひらがなのほうが読みやすいのです。そして、そういう資料をちゃんと持って帰れて、何日か先、その場で体験したものが何だったのかとわかれば、すごく助かります。

もう一つ、名産物はできるだけ試食会を多くつくることが重要です。名産物を生かした駅弁とか定食等は手軽に食べられるようにしたいものです。豪華な料理は考えないで、本当の家庭料理みたいなもので結構です。かえってそのほうが馴染みがあるのです。

あともう一つ、よく日本で言うスタンプラリー方式もいいかもしれません。なぜかというと、先ほどの「自立」ということを思うと、ラリーの場合は、そこもある、ここもあると、幾つかのところを訪ねなければいけないわけですから、その一つのパンフレットであろうが、地図みたいな双六であろうが、今まで行こうとも思わなかったのに、「載っているからちょっとそれも足を伸ばしてみようかな」と、そういう気持ちにもなるのです。

それから、スタンプラリーをすると、あちこちでスタンプをもらったら、お帰りになる際、空港のほうで何か一つ、つまらないおみやげで結構ですから、何かあればいいかなとも思いました。

 

私はおかげさまでいろいろな新聞、雑誌の仕事の依頼が入っておりますが、ニューヨーク・タイムズにはもう10年ぐらい記事を書いております。ニューヨーク・タイムズはまた特別で、規則がすごく厳しいのです。日本語の環境にいる私にしてみれば、すぐれた英語の表現というものが周りからなかなか耳に入らないですし、自分の文章も、何か英語のいい表現はないのかと考えるとき、それと離れた環境の中ではなかなか難しいわけなんです。ですから、ニューヨーク・タイムズの仕事のおかげで、本当にすばらしい編集部の方々のお力をお借りして、年に五、六回ぐらい記事を出しております。

またニューヨーク・タイムズの場合は、特に読者の手紙や反応、意見は決定時の重要な要素です。一番難しいのが、取材する際、前もって申し込まないことです。それから絶対自分の身分は明かしてはいけないのです。なぜかというと、特に食べ歩きの場合、特別扱いされては役に立たないからなんです。日本のジャーナリストの動きとどう違うかというと、それが一番の違いです。

私はこの顔ですから、黙っていてもこの頃何となく身体の動きで「これは長くいる人だな」と、よくばれるらしいのですけれども、黙っておけば、皆さんに道で出会っても、「昨日来て明日帰るだろう」「外人だな」としか思わない人が多いわけなんです。ですから、黙って取材されたお店にしてみれば、騙されたという気持ちなので、決してお礼の手紙が届きません。あとは記事が出てから、お詫びの手紙をつけて一応皆さんに出しますけれども、それっきり二度とそこには行かなくなるというのが多くあるわけなんです。

でも、やはりニューヨーク・タイムズにしてみれば、これが絶対の規則なんです。ですから、多分おわかりになると思うのですけれども、カメラマンとは一緒に動いていないのです。私があちこちに伺いまして、取材が終わって、文章にまとめて出してから、初めてカメラマンが伺うのです。それで初めてその店やホテルは、取材をされたというのがわかるわけなんです。そこで「取材をお断りします」と言っても、もう済んだことですから、コントロールできません。日本式にしてみれば大変失礼なことにはなりますけれども、平等社会からの人間にしてみると、もう絶対の規則なんです。

それから、もうすでに皆さんは何回かご経験をされているのではないかと思うのですけれども、ジャーナリストに一生懸命ご協力されたのに、納得のいかない記事が出されたり、あるいは全く記事が掲載されなかったりすることもあるのではないかと思うのです。実は私にも、自分ではよく出来たと思った記事が掲載されないこともあれば、編集の段階で記事がめちゃめちゃに修正され、とても自分の文章とは思えないようになることもあります。また、普通の出来だと思った記事に、予想以上の反応がある場合もあります。ジャーナリストとしましては、手に負えないところがあるわけなので、皆様にもご理解をいただければと思います。

もう一つの例といたしましては、東京の吉祥寺の記事の話をさせていただきます。18年前になるのですが、吉祥寺は海外には全然紹介されていませんでした。当時、私は近所の荻窪というところに住いがありましたので、ぜひ皆さんに吉祥寺というすばらしい街を紹介しようと思っていたのです。そこで、ある有名なフード関係の雑誌から依頼を受けて、取材をしました。言うまでもなく、これはプロポーザルを出して採用されたもので、短期間の厳しい締め切りでしたが、ちゃんと原稿を仕上げました。でも、それから半年以上何も連絡がありませんでした。二、三回ほど問い合わせてみましたが、あまりにもしつこく言うとまた逆効果だし、約束した原稿料はいただきましたので、黙って待つしかなかったのです。

それで、今はインターネットによって契約の仕方が大分変わりましたけれども、当時は、2年以内に掲載されない場合、他の出版社に売り込んでもよいという契約内容でした。ですから2年間待ち、情報を再チェックした後、別の雑誌にもっていったところ、採用され、表紙に出す特集記事にしていただき、おまけに賞までもらいました。でも、このようなケースはあまり望ましくありません。というのも、元のところからは10年近く依頼がありませんでした。

インターネットについてですけれども、皆さんご存じのように、現在はものすごく発達しています。それが世界中、どこからでもアクセスができるものですから、いろいろなウェッブサイトに情報を送ることは、想像以上の効果があります。こちらに来る前に、JNTO(ジャパン・ナショナル・ツーリスト・オーガニゼーション)、つまり国際観光振興会さんが持っているウェッブサイトを見てみましたら、やはり徳島が少しありました。でもそこに紹介されていたのは、「ああ、なるほど」というぐらいのものしかなかったのです。やはり今の時代ですから、もう少しウェッブサイトのほうに力を入れるべきではないかと思います。独自のウェッブサイトを持っているのが一番なんですけれども、そうではなくても、すでにあるJNTOさんのようなウェッブサイトをお借りして情報を提供すれば、一つのまとまりにもなるのです。

私も自分でウェッブサイトを持つのは仕事で忙しくてとても出来ないので、「東京フードページ」というところに、「文化の味」という内容だけ私が提供するのです。向こうはその内容がおもしろければそれでいいということなので、向こうもお金は取らないし、私も出さないということで、お互いさまなんです。

それから、記事は一旦新聞や雑誌に出てしまえば、特に海外の場合ですと、何ヵ月後、何年後には、もう一度自分が使ってもいいという契約内容なので、ウェッブサイトに、例えば五、六年前のものをちょっとアップデイトして出すこともできます。

最新情報というのをしつこく言いますけれども、もう一つだけお話をします。つい最近、先月10月に私がニューヨークヘ行った時の話です。マンハッタン53丁目2番街というのは、住宅街というか、オフィスビルがそんなにないところなんです。

ある角を通りかかっていると、日本の雑誌を持ってうろうろしている3人組の女性に出会いました。実はその角には前、「カナディアンパンケーキハウス」という大変人気のある店があったわけです。皆さんはパンケーキというと、可愛らしいふわふわしたものを想像するでしょうけれども、あの店のはすごく大きいんです。おばんさいみたいなお皿に一つのるぐらいで、それが重ねて6枚あります。とにかくとても食べきれなくて、それを名物にした店だったのですが、今年の4月に閉店をしたのです。

それで、皆さんはそれを探しているのではないかと思い、日本語で話しかけましたら、びっくりした様子でしたが、案の定、パンケーキハウスを探しているところでした。閉店したということを説明しましたら、「ではほかのニューヨークらしいお店を紹介していただけませんでしょうか」と聞かれましたので、私が「そうですね、ニューヨークらしいというのはベーグルじゃないのかな」と、ベーグルを売っているその近所のお店を紹介したわけなんです。

しばらくして、同じ場所を通りましたら、今度はまた同じ雑誌を持った2人連れの女性に出会いました。その人たちもパンケーキハウスを探しているということなので、またベーグルショップをお教えしました。

翌日、日本に帰るとき、まずい機内食のかわりにおいしくベーグルを食べていると、何と後ろからその3人組に声をかけられたわけなんです。その場で、ちょっとお話をしましたが、もし私と出会っていなければ、その日の出来事がなくなったというか、がっかりしていたというわけなんです。ですから、常に情報は最新でなければ役に立ちません。かえって、本当に逆効果になり、悪い印象を与えることになります。

そして、そのちょっとしたことなんですけれども、その話しかけられたというのが話題になっていて、何か人間関係といいますか、すごく身近な気持ちになるわけです。

これからパネルディスカッションと、それぞれの分科会に分かれて、いろいろ具体的なものをお互いにお話しし合うことになるのですけれども、私が会場を回ったとき、何か皆さんの参考になればと思います。

どうもありがとうございました。


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[参考]ジャーナリストの目で見るおいしい徳島 - 【風来坊】 2003年2月12日(水)07:11 No: 21


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