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◆ [参考]観光の立場から見た、グローバリズムとリージョナリズム
記事No/ 20 (親記事)
投稿者/ 風来坊
投稿日/ 2003年2月12日(水)07:01
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平成11年度 国際観光交流促進ワークショップ

基調報告「観光の立場から見た、グローバリズムとリージョナリズム」

神田外語大学講師・異文化コンサルタント ホーリ・シバート・川上
 

今日は皆さんと一緒に金沢でお会いできることをとてもうれしく思っています。

金沢に以前来たのは2回ほどですけれども、随分前のことで、90年代は全然来ておりません。やっとこういう機会がありまして、とてもうれしく思っております。

今日は、このワークショップに参加させていただいて、光栄でございます。アジア太平洋観光交流センターの皆さんがずっと前からとても熱心にテーマを考え準備を進めておられ、こちらに来たらとても楽な気持ちで過ごしています。

本当は、今日のワークショップの最後までいったら、多分その時、初めて皆さんの本当のニーズと、本当に話したいことがわかるかと思いますけれども、初めは私から一方通行の形で話をさせていただきます。

私は現在、東京に住んでいます。80年代は、大阪と京都にずっと住んでいて、金沢はその時は実際はそんなに遠くなかったかもしれないですけれども、交通の便とかを考えてみると、印象的にはちょっと遠かったなと思います。それで昨日、東京から金沢に来て、またちょっと遠いなと感じました。やはり時間的なことと、距離的なことでちょっと疲れてくると思います。

 

A. 異文化コミュニケションとは

先ほど、私の紹介の言葉の中で「異文化」という言葉がありました。「異文化コミュニケーション」「異文化」という言葉は、10年前、15年前は誰も使いませんでしたし、知りませんでした。その意味でとても進んできたと思います。

でも、「異文化」というのは本当は何でしょう。私の理解では、「異文化」は比較文化と似ているところもありますが、「異文化コミュニケーション」は実際に人と人との間でどういうふうにうまくコミュニケーションができるかということです。ですから文化を比較する場合は、学者が自分の教室、研究室ではいろいろなことを考えて書くこともあるかと思いますけれども、異文化コミュニケーションになると、実際にどこかで、例えばこの場とか、街で、道で、違うバックグラウンドの人、特に違う国籍の方々が一緒になって、それで出会いがあって、何とかコミュニケーションをしなければならない。そうすると、どういうふうにうまくコミュニケーションができるか、それが異文化コミュニケーションです。やはり観光の場合もございます。店の方、街のおばさんたち、そういった人々の方が毎日のように観光客を受けているので、多分学者よりうまく異文化コミュニケーションができるかと思います。

 

B. 私の日本体験

今日は、少し私の個人のバックグラウンドと、私の目から見たもの、そしてテーマに入っている「グローバリズムとリージョナリズム」という言葉について話したいと思います。その上に、1人の外国人の立場から考えて、外国人はどういう旅をしたいか、どういう旅が一番いいか、どういう旅を期待しているか、日本に来る場合、どういう問題点があるか、どういう不満があるかということもお話したいと思います。

私が一番最初にこの国に来たのは、随分前の話になりますけれども、昭和53年(1978年)です。すごく蒸し暑い夏でした。でも私はもっと若かったし、すごく興奮していて、夏の湿気と暑さはあまり気にせずに、ずっと旅行をしました。その時、私はまず東京に来ました。そこにしばらくおりまして、次に山形県にしばらくいて、そこからずっと東北を汽車で回り、海を渡って北海道に行きました。夏の北海道はいいですね。幸いに北海道では1ヵ月ぐらいはホームステイで過ごしました。当時は個人的なホームステイの形でした。実は先々月の7月にその時の小さい街にもう一度遊びに行ってきました。私はそこでの一番親しい友達とは毎年のように東京で会いますが、私がその街に行くのは本当にもう何年振りかでした。

それで、私の最初の日本の旅についていろいろなことを思い出しました。その時は北海道からその方と一緒に京都に行きました。やはり京都にあこがれていました。京都と金沢はそれほど距離はないかもしれないですけれども、残念ながら最初の旅は石川県までは行かなかったのです。その4年後、金沢に来ることになりました。その時は私はお茶を勉強していましたから、お茶の関係の団体で金沢に来たのです。ですからスケジュールが全部決まっていて、行く場所も決まっていました。でも初回としてはとてもよかったです。

2回目は個人の旅で、現在、主人になっている人と一緒に、まず能登半島に行って、そこから金沢に行き、関西に戻りました。

 

C. 本当に外国からのお客様を受け入れたいのか

私はアメリカ人です。ですから欧米人は私と同じような意見と考え方があるかなと思いますけれども、例えば南米の方々やアジアの方々は、私と同じように考えているかどうか、ちょっとわかりません。でも私が申し上げていることが参考になれば幸いと思いますし、アジアの方々については、私の話をもとにしてもう少しその方々のニーズと考え方も考えたらいいのではないかと思います。

本日のワークショップのテーマや、山下理事長のごあいさつの中の言葉を思い出すと、皆さんは外国からの客を受け入れたいとお考えだと思いますが、本当にそういうふうに決心したのでしょうか。それを最初にお聞きしたいと思います。皆さんはそれぞれの事情やお考えがあるかと思いますけれども、もしそういう希望をお持ちなら、それはなぜそういう希望があるか、まずご自分で考えなければならないのです。ここにおられる皆さんは観光関係の仕事をなさっておられて、どこかの代表として来られたと思います。今日一日過ごして、またご自分の事務所か、旅館か、組織に戻りましてほかの皆さんに報告することになると思います。その時はただこういうことがあったと報告するだけではなくて、私たちは本当に違う方向に行きたいかという議論から始めればどうでしょうか。そうでないとうまくいかないと思います。

国内の方を受け入れることについては、皆さんはもう長い経験がありますから、とてもうまくできると思います。でももう一つの方向、つまり日本人ではない方々を受け入れるということは、今までと違う方向です。もちろん共通点もあります。どちらもホスピタリティーがもとです。お客さんが本当に満足するにはどんなことをすればいいか、そういう考え方自体はよろしいのですが、実際に日本人ではない方々を受け入れることを詳しく考えてみると、多少日本人とは違うこともあります。ですから最初に本当にこういう方向がいいかという検討をしてみたらよいと思います。

D. リージョナリズムとグローバリズム

テーマの言葉に戻りますけれども、まず大事なのはリージョナルな立場です。「リージョナル」という言葉はご存じのように「地元」という意味です。地元から見ると観光客には金沢では何が魅力的か、今日は金沢、石川県が例になりますけれども、能登半島でもいいですが、何が魅力的か、ユニークか、特徴かということになるでしょうか。まずは、そういったリージョナルな良さの把握が大事です。

その次は、金沢、石川県の魅力・特徴を、どういうふうに世界中の皆さんに伝えたらいいでしょうか。それから観光客がわざわざ金沢に来ていただいたら、どういうふうに地元の方々がプライドを持って、それぞれのお客さんを満足させるか、喜んでもらえるかということです。

それからもう一つは、これはどこでも同じですけれども、魅力的で特徴があるということは、観光客のためだけではなくて、本当に地元の人の生活の一部になればよろしいですね。こういう点は金沢、国内だけではなくて、世界中の人気のある観光スポットの共通の問題になっています。

それから、グローバルな立場から見ると、外国の人から見るとどうかということです。これはやはり情報です。もちろん今までいろいろな方法がありましたが、最近始まったのはインターネットです。皆さんはもうインターネットをよく使っていると思いますけれども、これからますます観光をしたい方はまずインターネットで調べて、情報を集めると思います。

それから、情報といいましても、大事なのは情報の内容です。日本人向けの内容と、外国人向けの内容、これは言葉はもちろんですけれども、内容まで考えなければいけません。ただ翻訳するだけではなくて、外国の方のニーズ、好みを考えながら内容を書かなければいけないです。

 

E. コミュニケーションの大切さ−口コミが一番

もし外国の方が来られましたら、コミュニケーションが一番大事です。これも言葉だけではありません。もちろんたくさんの外国のお客さんが本当に来られましたら、まず英語の案内とかがあればよろしいですけれども、でもそれだけではありません。観光関係の方や街の方が心を開いて、本当に受け入れたいという気持ちがあるかどうか、観光客が喜んで満足して帰っていってくれたかどうかが大事なのです。一番いいマーケティングはインターネットでもないし、ブローシャーでもありません。その満足された方の口から聞くのです。口コミが一番です。国内もそうだと思いますけれども、もちろん海外の方でもそうです。近所の方か、親戚の方か、友達が、日本に行ったとします。「どうだった。どこに行きました。どういうふうに言葉の壁を乗り越えましたか」とか、いろいろなことを聞くと思います。その方の話次第で本当に日本に来るか、本当に金沢まで来るかが決まると思います。

 

F. フランク・ロイド・ライト・ビジタセンターを訪れる人々

私は自分がどこに住んだことがあるか、どこを旅行したかを、もう少し簡単に申し上げたいと思います。

私はアメリカのシカゴで生まれ、そのすぐ隣の郊外で育って学校に通っていました。皆さんもよくご存じの世界的に有名な建築家、フランク・ロイド・ライトは私が育ってきた街の方です。シカゴの隣の街です。でもシカゴの一部ではない独立した郊外の街です。今でもそこに行くと、フランク・ロイド・ライト・ビジターセンターを訪れることができます。そこからいろいろツアーがありますし、特別に入ることができる家もあるし、フランク・ロイド・ライトについてのいろいろな本とかグッズとかもございます。

フランク・ロイド・ライトは世界中で有名ですから、アメリカ人はもちろん海外からもいろいろな方々が訪れます。フランク・ロイド・ライトが設計した建築や、考えた場所を見たいのです。実は外部から見ていると・その街はそれほど力を入れていないようにみえます。それはいいかどうかは別の議論になりますが、ただ、フランク・ロイド・ライトがかなり有名ですから、ほっておいても人が来るのです。東京でもあまり考えなくても、とにかく人が来るしかし金沢やもう少し距離があるところ、もう少し小さいところでしたら、やはりはっきり考えないとうまくいかないかもしれないですね。

 

G. サンタフェが観光地になるまで

アメリカで最近、非常に魅力的に感じているところは、ニューメキシコ州です。サンタフェという街の名前は皆さんはよくご存じですね。サンタフェは今世紀の初め頃から、1909年だったと思いますけれども、街のリーダーと、美術館の皆さんと一緒に会議を開いて、サンタフェはどうしたらよいか、観光地にするにはどうしたらよいか、本当に真面目に考えてきました。もう90年ぐらい前のことです。それからいろいろなことがありまして、乗り越えて、多少変更はありましたけれども、観光地として、観光スポットとして、ずっと前から考えて計画してきたのです。サンタフェの例も参考になると思います。本当に観光地にしたいと思ったら、よほどの力を入れないとうまくいかないかもしれません。

実際にサンタフェに行くと、私の目から見ると、すごくいいところですが、その裏にはいろいろな問題点があります。観光地になればなったで、地元の人がどうも損になったりと、悩みがでてきます。あまり観光客が来ると、街の中のことは観光ばかりになるとかで、地元の人が本当に普通の生活ができなくなってしまいます。何でもかんでもが高すぎて、それで地元の人がどんどん街を出て、本当に魅力的なところがなくなるという悩みもあるのです。

 

H. 世界各国を回って

その後、ヨーロッパも大分旅行をしました。イギリスではしばらく住んだこともありますが、残念ながらまだ東ヨーロッパは行ったことがありません。カナダでは10年ほど住んだことがあります。ハワイも行ったことがあります。日本に住んでいますから、アジアもよく旅行しました。オーストラリアも3回ぐらい行ったことがあります。もう少しいろいろなところに行きたいのですけれども、一応世界中を回ったと思います。

あちこち行くと、普通は自分の旅行ですけれども、観光について興味もありますし、今までの仕事の中で、ホテルの設備とか、新空港の設備とかについても考えたことがありますので、自然にそういうところもちょっと見て、これはどうでしょうかと考えることがあります。今年はしばらくニューメキシコ大学のほうに学者として行って、そこの観光について論文を書きました。

そこのポエムローインディアンと観光について、どういう経緯をたどってきたかということを調べました。それも思ったより長い歴史があり、100年ちょっと前からそういうことが始まりました。

 

I. 観光とは1]-“The real Japan(本当の日本)”を探して

私が旅行者の一人として、アメリカ人の一人として観光はどういう意味があるか、ちょっと話をさせていただきたいと思います。

第一は、特に欧米人が-私を含めて-日本を旅行する時は“The real Japan(本当の日本)”を探していると思います。日本についての世界中の評判はどちらかというと経済的な評判です。もちろん美術のことを多少知っているし、興味がある人は美術館とか特別な展示会とかに行くと思いますが、一般的な評判は経済的な評判です。日本企業の経営は有名ですが、わざわざ日本に来たら、そういうことではなくて、もっと伝統的、昔からの街並み、昔からの日本の美、昔からの人間関係について興味があると思います。だから“The real Japan”です。金沢、石川県を見ると、十分そういうところはあると思いますので、その点については心配しなくてもいいと思います。

私も今晩は地元の旅館に泊まります。まだ直接に見ていないですけれども、多分とても金沢と石川県を味わうことができると思います。

外国人は出張での来日でしたらもちろんホテルでかまわないと思います。ビジネスホテルか、シティホテルか。コンベンションとか、コンファレンス、シンポジウムだったらそれでもよろしいかもしれないですけれども、個人的な旅行でしたらどちらかというと、そこにしかないようなところに泊まりたいと思っています。

 

J. 観光とは2]-“experience(体験)”を求めて

二番目は、これは英語で言うと“experience(体験)”です。自分が体験したいのです。ちょっと冒険があればいい。リスキーなところでなくて、少しでも違うということを味わいたいのです。そうすると、いい思い出をつくることができます。

例えばヨーロッパ、ハワイ、ディズニーランドヘ行くと、そういう意味での魅力があると思います。特に日本人の場合は最初は団体、パッケージで行く方が多いと思います。でも日本人でも2回目、3回目の方でしたら、ご自分でいろいろなところに行って、フリータイムがほしいと思うでしょう。もともと欧米人はそういう形だと思います。欧米人でも時にはパッケージを選ぶのですけれども、パッケージの中でまたフリータイム、自由な時間がほしいと思います。その中で普通のホテルだけではなくて、一泊でもまた違うところ、例えば温泉旅館とか、民宿とか、そのように地元にしかないようなところに泊まりたいと思っています。

先ほど言ったように、観光客のためだけではないところが一番いいと思います。ディズニーランドはどちらかと言えば観光客ばかりですが、観光客のためではなくて、本当に地元の日常生活を味わいたいと思っています。

実際に夕べ、一緒に参加されている安島先生が金沢の古い街を案内してくれました。安島先生の話では、東茶屋はつい最近、直したところとお聞きしました。その前はとてもごちゃごちゃでちょっと汚かったそうですね。そういうところは一つのいい例になります。実際に地元の人がそこに住んでいて、店をやっている。観光客がいなくてもこちらの金沢の人々がそこで愉快な時問を過ごせる。その上で、やはり観光客から見ると、すごく独特な気持ちになります。

 

K. 観光とは3]-“discovery(発見)”を求めて

続きまして、もう一つは、“discovery(発見)”です。自分で何か発見ができればいいですね。特に自由な時間が大事です。私はちょっとでも自由な時間があって、地図があると、自分で道を歩きます。初めての店だと、ちょっと入ってみて、そこのおばさんとかおじさんとちょっとだけ話をします。これはいい思い出になります。そういう出会いです。今まで見たことがないところ、誰も案内してくれなかったところ、誰でも行けるかもしれないですけれども、私自身が実際に歩いてパッと目の前で出会う。それはやはりディスカバリーということです。そういう出会いができるのはすごく大事です。贅沢なホテルの部屋より、思い出になると思います。

L. 私の体験-京都・宮崎

去年の11月、初めて異文化コミュニケーション研究会という大会が東京と千葉で開催されました。日本で初めて、もちろんアジアで初めての国際大会です。私はその組織のメンバーで、前は副会長でしたけれども、その時はその大会の文化プログラムの担当になりました。それで今までなかったようなプログラムを考えてみました。

その組織はどちらかというと、毎年のようにどこかで大会を開いています。でも折角初めて日本で行いますので、今までと違う形がいいかなと思い、大会と同時に文化プログラムを行いました。毎晩いろいろなパフォーマンスがあって、昼間は展示があって、それから特別講演、文化的な講演です。

結局、3日間半の間、36のイベント、講演会、展示が行われました。その上に毎日のようにツアーもありました。こちらの金沢の地元の方も来られて、展示もなさったのです。その方は和紙のお店をやっています。その方の展示で、すごくきれいなインテリアグッズを飾って、とても評判がよくて、商売もよかったそうです。

その大会が終わってから、私は参加者の8名と一緒に京都まで行って、特別ツアーをしました。当初はもう少し多い人数でしたが、8名でしたら、団体よりもっといろいろな特別なこともできます。そうすると3日間の間、1日目と3日目に普通は入れない特別なところを私が手配して、そこを案内しました。行く前にどういうあいさつがいいかとか、どういう行動がいいかとか、ちょっと説明をしておきましてから、一緒に行って過ごしました。

それ以外の自由な時間には、地図とか情報を用意して、例えば夕食でしたら、いろいろな場所を紹介し、その中から選べばどうでしょうかと提案しました。皆さんはとりあえず異文化について興味を持っているし、今までいろいろな旅行をなさったことがありますから、日本は初めてとはいえ、やはり自由な時間を一番好みます。それぞれの人が2人、3人のグループで、あるいは1人で好きなところを見に行きました。朝食の時になったらみんなお互いにどこに行ったか、情報交換をしました。そのような形が番いいと思います。

1997年12月、私がお客様として、ある方が手配された旅行に参加しました。その方は日本人ですけれども、東京の下町のことに対して英語の本を出したこともあるし、秩父の案内の本も出しています。後ほど澤さんが分科会でお話ししますけれども、澤さんの澤の屋旅館がその下町の本にも載っています。その方は毎日のようにツアーを企画する訳ではありませんが、ご自分の興味があれば特別なツアーも手配します。

私たち20名ぐらい九州の宮崎県の小さい街に行って、その後、神楽を見るためにもっと小さい村に行きました。3日間ぐらいの旅行でしたが、とってもよかったです。私もほかの参加者もみんな日本に住んでいる外国人です。みんな東京か名古屋に長く住んでいます。日本語ができる人もいますが、できない人にはその手配をされた方が通訳もしました。皆さんがとても満足しました。その時、思いやりと気配りは一番だったのです。

M. 外国人観光客を受け入れるために必要なこと

時間がもう残っていないのですけれども、最後にリストアップしたいことがあります。これからどんなニーズがあるか、それでそれぞれの分科会で、もっともっとこういう話が続くと思います。

まず、国際語として英語の情報が必要です。幸いに金沢はもう大分進んでいると思います。私はまだ見ていないですけれども、随分前に英文のガイドブックができたと聞いています。しかしガイドブックだけではなくて、街ではあちこち、それからホテル内、店内とか、そういうところにも英語表示が少しあればよろしいでしょう。

金沢ではどういう姉妹都市関係があるか、よくわからないですけれども、例えば姉妹都市の方々と連絡をして、それでどういう旅をしたいか、どういうニーズがあるかということを調べることから始まればいいのではないかと思います。海外から来る観光客を考えてみると、もう少しターゲットを絞ればよろしいのではないでしょうか。自分たちの身近な関係から始まればいいですね。

それから、例えばコンベンションから個人の旅まで、あまり幅広くするとうまくいかないかもしれません。もう少しターゲートを絞って決めたらいいのではないかと思います。

その上に、特に金沢の場合は魅力的なところ、独特なところがいっぱいありますので、そういうことに興味がある方のためにターゲットを絞って、普通のツアーではない、勉強会みたいなツアーや何かを学ぶツアーのような特別なプログラムを企画したらいいですね。そうすると、美しい日本に出会え、体験ができ、思い出ができ、発見ができるツアーにもなるのではないかと思います。

先ほど申し上げたように、ウェブサイト、これも英語の情報と関係がありますけれども、やはりウェブサイトがこれからはとても大事になります。だけど、ウェブサイトは一度つくったらずっと面倒見ないと意味がありません。それはすごく大事なポイントです。そうすると、一度ウェブサイトをつくったら、私のような人か、異文化の間に立っている人に頼んでいろいろなアドバイスを受けたらどうでしょうか。目指すところはお客さんが満足するホスピタリティーです。その場合は英語のチェックだけではなくて、内容までアドバイスを受けたらよろしいと思います。

それでもう一つは、最後になりますけれども、ほかのところは何をしているかを知ることです。皆さんご存じのハワイといっても、ハワイはワイキキだけではありません。“The real Hawaii”、本当のハワイもあるのです。そういうところはどういうふうに活躍しているか。

それから、外国人から見た難点は、やはり日本は物価が高いということです。それをどういうふうに乗り越えたらいいか、特別なパッケージとか何かしないと、特に今また円高になりましたので、また問題になります。

それから、外国人には団体行動はあまり向いていません。もっと個人的なツアーで、十分に自由な時間があればよろしいのです。

最後になりますけれども、今までと違うたくさんの外国の観光客が来てくださったら、どういうふうに迎えたらいいかという研修や教育が必要です。勉強会とか、ボランティアガイド会とか、そういうところで時々シンポジウムか、コンファレンスか、気楽な形でやればいいのではないかと思います。

まだまだいろいろな話がありますけれども、私が申し上げたことは参考になるかどうか、ちょっと心配しております。このあと3つの分科会に別れて、またいろいろな詳しい話が続くと思います。もし質問やコメントがありましたら、どうぞ気楽に聞いていただきたいと思います。

ご清聴ありがとうございました。


以下は関連する記事の一覧です。 [一括表示]

[参考]観光の立場から見た、グローバリズムとリージョナリズム - 【風来坊】 2003年2月12日(水)07:01 No: 20


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