[狗肉食の歴史][古典が奨める狗肉食

犬は、人間が飼育した最初の家畜であり、韓国の新石器時代の遺物として犬の骨が出土しています。 新石器時代に遺骨では犬が一番多く、早くから狩りと食用に利用したことが判ります。 北朝鮮の咸鏡北道農圃洞遺跡では土で作った犬の頭、西浦項遺跡では犬の頭蓋骨が出土しました。

平壌の美林里では青銅器時代の犬の骨が、金海貝塚でも犬の骨が出土しました。安岳の高句麗壁画には蔵に屠殺された犬が見られます。 (古代韓国式生活史研究、1994)

周礼、爾雅、韓非子、本草綱目に出て来る六畜は、牛、馬、羊、豚、犬、鶏の 6種を現わし、これは時代と場所が変わっても変わることがなく、 朝鮮でも犬は 6畜の一つとして先史時代から家畜として飼い、肉を食しました。

朝鮮半島での犬についての記録は、後漢書東夷伝、魏志東夷伝夫餘伝に初めて出て来ます。 青銅器時代には国の祭祀に生贄を屠殺して生肉と生血を捧げ、農産物と畜産物を料理して捧げ、祭祀の時の料理を担当する人を宰相と言いました。 宰相という意味は祭祀を企てて材料を求めて進行し、食べ物を臣下に分けてやらなければならず、相当な才能が必要であったため、 その人がその後の国務総理に当たる宰相の仕事までしたのです。

三国史記と日本書紀には新羅が日本と唐に犬を輸出したと記録されています。 高麗時代には仏教が盛んで肉食を遠ざけましたが、モンゴル侵略の影響で再び肉食が盛んになりました。 しかしモンゴル人たちは狗肉を神聖視して食べませんでした。

高麗の時代は仏教とモンゴルの影響で上流層は狗肉を食べなかったものの、庶民層は食べました。 高麗列伝に犬を焼く話が出て来ます。 (韓国食品史、1992) 朝鮮時代になり、狗肉を食べた孔子の影響で貴族たちも狗肉を厭わなくなり、狗肉食用についての記録が非常に多くなります。

朝鮮時代には高麗時代に安が持ち込んだ朱子学が花を開き、儒学を崇拝しました。 儒者たちも狗肉を食べました。しかしその後、中国は公式的に狗肉を食べなくなった一方、朝鮮では孔子に 従って狗肉を食べて来ました。 (韓国食品史1992)

犬に対する記録は芝峰類説(1613)、金笠詩集(1807〜1863)、農家十二月俗詩(1861)、撮要新書(1894)には 犬を扱う話が書かれ、 自願詩集(1849〜1863)には犬の育て方と犬の捕え方が、山林経済(1715)には狗肉の薬効があります。 漢陽歌(1844)には薬として犬の胆嚢を収録しています。

朝鮮時代には誰もが狗肉料理を食べ、どの肉屋でも狗肉を売っていました。 狗肉は下層身分が主に食べたという記録もありますが、武官も食べたし、宮廷調理場にも犬の 煮込み(ケチム)というメニューがあります。 恵慶宮洪氏の還暦祝いの膳にも黄犬の煮物が上がったという記録があります。
外国人たちの目を通じて朝鮮の狗肉を食べる姿を見ると、朝鮮教区で 5代教区長だったフランスのアントニー・ダブルシは 補身湯を好みました。 フランスの布教者として朝鮮教会史(1874)では “朝鮮にはマトンはなく、その代わり狗肉があるが、宣教師たちは 皆その味が気に入っている”と述懐しています。

アメリカ人で日本の大学で教育活動をした教授は、隠者の国(韓国)で 一般の肉屋でも狗肉を売っており、朝鮮の人たちはアメリカのインディアンたちのようにその肉を好んだと言う。 狗肉は三伏酷暑の時にたくさん食べると記述されており、三伏以外の時にもたくさん食べると言われます。

朝鮮時代には多様な狗肉料理が開発され、多くの料理方法が紹介されています。 料理には狗炙、狗肉焼、狗肉腸詰、補身湯、ヌリミ、補身湯ヌリミ、補身湯煮物、狗肉の煮込み、水炊き.などがあります。

朝鮮王朝実録中宗 31年(1536年)によれば、奸臣である金安老左議政が狗炙を随分と好みました。 これを知った李彭寿というずるい者が賄賂を捧げて承政院注書の官職を得たといいます。 孝宗の時代、江原監司・柳碩は狗肉を美味しく料理出来ないと料理人を鞭で打ち殺したといいます。 (イ・フンコラム光州日報)

日帝時代の間に近代料理書から狗肉料理が消え始めました。 日本人が狗肉を食べなかったからです。 解放後にはアメリカの影響下に置かれました。 アメリカ人たちも狗肉を食べなかったし、狗肉を食べることを野蛮と いって攻撃したので、料理書から狗肉料理が消えました。 しかし実際にはたくさん食べていました。

狗肉料理に補身湯という名前が付いたのは 1940年代中盤以後、身を補い精力を増強させるという意味で本草綱目 にある、心臓を補するという話から始まったといわれています。 現在、補身湯店では補身湯、茹で肉、鍋物、和え物、炒め物などがあります。 他の料理はほとんど消えました。 補身湯店は整然と並んでいてどこでも簡単に見つけることが出来、 どこでも大部分はそんな姿です。 しかし看板は補身湯、栄養湯、四節湯、モンモン湯などいろいろあります。

補身湯店の中には味付けをたくさん入れるところがあります。 しかし、味噌だけを混ぜてしっかり煮込むと深い味がします。 補身湯が美味しいという噂が立った家は、年を取ったお婆さんたちが昔ながらの方式で営むみすぼらしい所が多いです。 田舎の外れであることもあり、安物な家であったりもします。



Copyright (C) 2005 Nippon Dog Meat Fan Club. All Rights Reserved.