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観光都市へ導く
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完成式でテープカットをする関係者ら
＝津市なぎさまちで | 国、県、市が計３５億円を投じた海上アクセス港「津なぎさまち」の完成は、津市にとって、地味な県庁所在地から観光都市に変わるチャンスだった。だが今のところ、新しい観光資源の発掘など、目立った動きはない。伊勢志摩目当ての観光客に立ち寄ってもらえると期待しているが、課題は山積だ。
頼みは伊勢志摩客
ＰＲ取り組み遅れ
津市商工労政課の観光担当は、新しい港が完成しても浮かない表情だ。「結城神社のウメや、ウナギ料理を目当てに、果たして観光客が来てくれるかどうか」「旅行客が何を求めているのか、つかめない」
市観光協会のパンフレットやホームページの観光マップには、高田本山専修寺、津観音、唐人さんの家、観光みかん園などが示されている。しかしどれも「全国に知られているとは言えない」（観光担当）ものばかり。
同市は当初から、アクセス港は観光振興に結びつくと見込んでいた。財政緊縮論者でありながら、港誘致は譲らなかった近藤康雄市長は「素通りしていた伊勢志摩目当ての観光客が、津市の土を踏むことが重要」と、意義を強調し続けた。
だが、運航開始目前になっても、中部国際空港から海上アクセスを利用した市内観光地へのツアー企画はまだ見あたらないのが現状だ。三交旅行（津市）津営業所のツアーを組む担当者も、「伊勢志摩への観光客が、観光資源の乏しい津に立ち寄るとは思えない」と厳しい見方をしている。
津市は来年１月に合併する周辺市町村にも呼びかけ、昨年７月から毎月、観光担当者の会議を開いている。新年度予算案には観光協会への補助として、１千万円の予算を計上する。津市の担当者は、「観光資源の発掘は、まだまだこれから」。久居市の榊原温泉や、一志郡のゴルフ場と連動したツアーなど、外国人向けコースの可能性も探る。
だが、海上アクセス船を運航する津エアポートラインの親会社「両備運輸」（岡山市）の窪田新治常務は、「瀬戸大橋では開通に合わせて全国で、岡山観光のキャンペーンを張ったもんだが……」と指摘。取り組みの遅れを心配している。
「津なぎさまち」
空港島へ約４０分
津市から中部国際空港（愛知県常滑市）へ結ぶ海上アクセス船の港「津なぎさまち」が５日完成し、市や工事関係者らによる完成式が行われた。
近藤康雄市長は「（室町時代の物流拠点だった津港が、大地震で崩壊してから）約５００年ぶりに復興する。小さな港だが、大きく育てていきたい」と話した。
０３年９月に着工し、海岸沿いの約２・１ヘクタールを埋め立てた。敷地内には、市が建設した「旅客船ターミナル」と民間の商業施設「ベイシスカ」が並んで建つ。長さ４０メートル、幅１０メートルの浮桟橋から高速船に乗り込み、伊勢湾を突っ切って約４０分で空港島に着く。
駐車場は３７０台収容で無料。イタリアンレストランやカフェなどが入るベイシスカは５日から営業を始めた。
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