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三重 |
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中部空港アクセス 2ルート併存可能
単独に比べ利益激減
愛知県常滑沖の中部国際空港の海上アクセスルート選定について、県が民間の監査法人の調査結果を受けて支援先を津と松阪の両ルートに決めたことで、近隣の二都市から二ルートが開設される道が開けた。しかし、競合は避けられず、予測される利益は単独運行に比べ激減。事業者が辞退した四日市市も、開設の可能性に含みを残した。
監査法人は津、四日市、松阪、鳥羽の四ルートのうち、運航業者の公募をしていない鳥羽を除く三ルートの採算性を調査。四日市は四日に運航事業者が辞退したため、対象外となった。
調査結果によると、津と松阪の二ルート併存の場合、二隻で一日十五往復を予定している津は、初年度の一日当たりの利用人数六百六十人、単年度利益は四千七百万円。一隻で六往復する松阪は四百八十六人が利用し、六千六百万円の利益が出る見通しという。
ともに採算性を満たすとして、県は二ルートへの支援を決定。船舶建造費を一隻につき一億円を上限に補助する。松阪港は物流港のため、港湾計画の変更や既存の物流事業者との調整、旅客ターミナルの整備など四つの条件付き。二〇〇五年二月の空港開港に間に合わせるには、ことし中の同計画変更が必要という。
両ルートが単独運行した場合、津は九百八十六人が利用し、利益は併存の約四倍の一億六千八百万円。松阪も八百二人が利用し、利益は一億八千八百万円で、互いに“食い合う”関係になる。
◆松阪側…『ありがたい』安どの表情 津側…競争相手は鉄道やバス
中部国際空港の海上アクセスの採算性調査で津、松阪の二ルート併存が可能とされたことについて、一度は県に辞退を求められた松阪ルート側の関係者は「ありがたい」と安どの表情を見せる。
松阪港からの海上アクセスを推進する中部国際空港海上アクセス事業化推進協議会の長谷川順一理事(多気町長)は「多気町にはシャープ液晶工場があり、内外企業の多くの技術者が訪れる。世界へのアクセスが開かれれば、南勢地域の産業振興、国際交流に大いに役立つ」と期待。一日も早いアクセス実現を目指したいと話す。
ライバルとなる津市の高橋広幸助役は「津市からの海上アクセスは最短距離で、優位性がある。仮に松阪ルートができても採算性は大丈夫。競争相手はむしろ、鉄道やバス」と自信を見せる。
四日市ルートは今回、対象外となったが、井上哲夫市長は「すべての選択肢が閉ざされたわけではない。今後も事業化への道を探っていきたい」とコメント。同市議会の谷口広睦議長は「市は事業化するのか断念するのか、はっきり明言しておらず、早く結論を出すべきだ」と、市に対応を急ぐよう求めている。
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