【津】近畿日本鉄道(大阪市)が傘下の津都ホテル(津市大門)の整理・撤退を市に通達している問題で、津市の近藤康雄市長は三十日の定例記者会見で、同ホテルを存続させるため、施設を所有する第三セクター「津センターパレス」(社長・近藤市長)と地元経済界で、ホテルの運営会社を設立する考えを明らかにした。
津センターパレスと津商工会議所を中心とする地元経済界有志、近鉄で、運営会社設立に向けて協議したい考えで、合意すれば、十一月中にもホテル存続や近鉄への経営委託の可能性などを話し合う予定という。
ただ、市が新会社に直接出資すれば、公的資金による特定企業の救済となりかねないため、近藤市長は「市の出資は避けたい」との意向を示した。
近藤市長は「都ホテルは市のシンボリック(象徴的)な施設。(中部国際空港への)海上アクセスの玄関になるし、サイエンスシティにもつながる。本当は今のままで残ってほしいが、何とか存続に向けて頑張りたい」と述べた。
津都ホテルは昭和六十年、ダイエーと並ぶ津センターパレスの中核テナントとして開業。ピークの平成三年度は客室稼働率78・8%だったが、長引く不況などで昨年度は59・5%まで落ち込み、撤退・整理の対象となった。
近鉄は八月、同ホテルの「撤退も視野に入れた協議を行いたい」と津市に通達。今月二十五日には同ホテル建物を管理する「津ホテル開発」の解散を取締役会で決定した。