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三重 |
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津都ホテル撤退の瀬戸際
近鉄合理化策で
厳しい経営状況にあった津都ホテル(津市大門)が、ついに撤退の瀬戸際まで来た。親会社の近畿日本鉄道が二十五日、同ホテルの建物を管理している「津ホテル開発」の清算を発表。来年二月の清算手続きが終わるまでに好転する材料が出ない限り、ホテル閉鎖は必至の情勢だ。地元では「撤退したら都心の空洞化に拍車がかかる」と危機感を募らせ、津市なども「存続に全力を」と期待をつなぐが、近鉄の合理化策が与えた衝撃は大きそうだ。
津ホテル開発の清算について、津市の近藤市長は「津市のシンボルであるシティホテルがなくなったら困る。活性化のためにも、存続できるよう全力を尽くしたい」と協議を続ける方針。市長はホテルが入居する津センターパレス社長も兼務しているが「ホテル経営に税金をつぎ込むわけにはいかない。近鉄や地元経済界と話し合い、適切な運営方法を検討したい」と話す。
ホテル近くの津市立町商店街振興組合の水谷泰三理事長(40)は「撤退ならイメージダウンは避けられない」と懸念。「商売には直結しないかもしれないが、中心街にホテルがあったほうがいい」と、成り行きを見守っている。
ホテルのおひざ元、津市大門通り商店街振興組合の下岡明生理事長も「県都から全国的に名の通ったホテルがなくなったら衝撃は大きい。津全体のイメージもダウンする」と受け止める。陶器店を営む関係で取引先を招待する場合、「宿は『都ホテル』と言うのと、ビジネスホテルの名を出すのとでは、相手方が受ける印象はかなり違う」と、商売上も大きな存在であることを強調する。
地元商店街の飲食店主(49)も「ホテルと取引があっただけに、本当に弱った」と頭を抱える。「ただでさえ空き店舗が多いのに、あれだけ大きいところが空くとなれば、灯が消えたようになる」と心配を隠さない。
津商工会議所の近沢順道常務理事は「長年、津市の中心部でまちづくりのシンボル的な役割を果たしてきただけに、今後を考えると大変な問題」と危機感を募らせる。「何らかの形でシティホテルが存続できるよう行政も考えてほしいし、商業界も協力していかないと」と話している。
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