鈴鹿の唐人踊り

「唐人踊り」のある祭り

小さな森のお祭りで もてはやされ神格化された唐人

三重県鈴鹿市東玉垣町で、毎年4月第一日曜日、牛頭天王社の春祭りに、 獅子舞と共に「唐人踊り」が奉納されます。氏子は150戸程の小さな田舎の町です。

「唐人踊り」は、ひねた人の「チャリ」を入れた珍妙な踊りに格別の面白さがあるのです。 (東北のなまはげや、上野のひょろつき鬼のような存在です。)だから「唐人踊り」はお祭りの最大の 呼び物で、カメラを抱えた参詣者が年々多くなり、2002年度は三重県の記録すべき民俗 無形文化財としての活動が始まります。また、鈴鹿市の小学校3、4年生の総合学習 の教材にも取り上げられます。

このように、年々新しい取り組みが見られ、還俗する通信使の面影を残すこの「唐人踊り」が 、どうしてこの地に伝わったのか、確証はつかめませんでした。

おそらく伝承や世話役について、何の記録も残さなかったのは、時代背景から考えて筆頭者は 罰を受ける可能性があったのではないかと想像します。

広く日本の大衆に感銘を与えた、朝鮮通信使の面影を残す珍しい祭り。そして今も踊られている「唐人踊り」 この踊りを、うまく土地のお百姓に受け入れられるように工夫した先人の知恵に感謝しております。

五穀成就を願い、助け合いと子孫の繁栄を祈る姿に、皆、共鳴するものがあるんですね。

「唐人にタッチされると早く良い縁が来るんだって」「良い人に巡り合える」等々、 いろいろな風評を呼び、今年は妊婦さんが大きなおなかをさすってもらっている光景を見て、「唐人踊り」は、 いつまでも何時までも踊りつがれるものと確信しました。

唐人踊り保存会(二代目)
会長 和田佐喜男