岐阜新聞ニュース

平成17年5月18日 水曜日

朝刊 [5月18日朝刊記事] 

詩刻む木板、旧家で発見/瑞浪市/江戸期、朝鮮通信使が詠む

 中山道の宿場町だった瑞浪市大湫町の旧家で、十七世紀中ごろに来日した朝鮮通信使の正使・趙■(チョハン)が詠んだと思われる詩を刻んだ木製の板が見つかったと、東海地方朝鮮通信使研究会が十七日、発表した。

 木板が見つかったのは、中山道大湫宿の脇本陣だった保々家。同宅を管理する舘和輝さんが、保々家の玄関先のかもいの上に長年掲げられていた木板の調査を、知人を通して同研究会に依頼していた。木板は縦三十七センチ、横六十四センチ、厚さ二・五センチ。同研究会の調査の結果、趙■一行が来日前に、朝鮮の楼閣で土地の郡守から受けたもてなしへの感謝の気持ちなどを詠んだ七言律詩が書かれていた。趙■が詩を紙に記したものを基に、日本人が木板に彫り込んだのではないかという。

 趙■が率いた朝鮮通信使の一行は、一六五五年の第六次の通信使で、江戸幕府の第四代将軍家綱就任の祝賀を名目に来日したとされる。

 同研究会代表の貫井正之名古屋外国語大学講師は「十七世紀以前の通信使の団長である正使の遺墨などは希少で、また朝鮮で詠まれた詩が日本に持ち込まれ、板刻されているのは珍しい」と説明。「朝鮮通信使の研究では、これまで通信使が通った東海道が注目されてきた。中山道沿いからも板刻が見つかったことは、通信使に当時、大きな興味が寄せられていた証拠では」と話している。

※■は、“おうへん(王)”に行

 (古川貴子)

(写真)朝鮮通信使の正使が詠んだ詩を刻んだとされる木板=瑞浪市大湫町、保々家

《岐阜新聞5月18日付朝刊県内版》


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