朝鮮通信使の友好今も 釜山で初の交流祭開幕
【釜山26日横尾誠】朝鮮通信使ゆかりの地の日韓関係者が一堂に会する「朝鮮通信使韓日文化交流祝祭」が二十六日、韓国釜山市で始まった。韓国側の関係自治体などでつくる委員会が初めて主催。長崎県・対馬、福岡市、山口県下関市など日本側約八百人と、韓国側五都市の総勢五千人での通信使行列の再現や、各地の伝統芸能披露など、二十八日まで盛りだくさんのイベントが続く。関係者は、かつて両国を結んだ通信使の「善隣外交」の精神を二十一世紀に生かし、観光客誘致などにもつなげたい考えだ。
今年三月、釜山市内で朝鮮通信使文化事業推進委員会(委員長、姜南周(カンナムジユ)・釜慶大総長)が発足。日本側の朝鮮通信使縁地連絡協議会(松原一征会長)と協力して計画を進めてきた。両団体はこの日、今後も毎年共同で交流事業を続けることに合意。協定書を交わした。
これに先立ち、同日、釜山市庁舎であった学術シンポジウムでは、仲尾宏・京都造形芸術大客員教授が基調発表。「通信使の精神は四百年にわたって東アジア全体の平和に寄与してきた。東アジアの市民の共通の精神遺産としたい」と会場の人々に呼びかけた。
二十七日には通信使行列などのメーン行事がある。かつて通信使の出発前に安全祈願した永嘉台も、釜山市に復元され、同日完工式がある。通信使の日本への出発地であった釜山の歴史をしのぶ、新たな観光スポットともなりそうだ。
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