Kyoto Shimbun 2002.07.17 News
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 饗応料理、320年ぶりに再現
 朝鮮通信使ゆかりの近江八幡 で

 江戸時代に朝鮮と日本の外交を担った朝鮮通信使をもてなした饗応料理が十七日、約三百二十年ぶりに、滋賀県近江八幡市立資料館で再現された。

 同資料館が、朝鮮通信使への近江八幡でのもてなしなどを記録した対馬藩の古文書「宗家記録」(慶応大学図書館蔵)を基に復元した。料理は一六八二(天和二)年八月八日、近江八幡市北末町の西本願寺八幡別院で、朝鮮国王の親書を携えた外交官の正使と副使に供された昼食という。

 今回再現されたのは、郷土食の赤こんにゃくやふなずしをはじめ、アワビや巻き貝など約五十種類の食材を使った三十六品。このうち、儀式用の三膳は、からすみやタコなどの食材を薄切りにして重ねて高く盛り上げる杉盛りの技法が用いられている。

 調理を担当した同市内で日本料理店を経営する佐々木則幸さん(51)は「今回はスズメなどで代用したが、白鳥やサギなどありとあらゆる鳥を使うなど、当時の食材の豊かさには驚かされる」と話していた。

 朝鮮通信使は一六〇七(慶長十二)年から一八一一(文化八)年までに計十二回来日。多くの文化や技術を日本に伝え、日朝関係の礎を築いた。陸路を伏見から江戸に向かう途中、近江八幡市の八幡山のふもとの旧市街地で休憩をとった。

 再現された饗応料理は十月十九、二十日に同市で開催される「朝鮮通信使ゆかりのまち全国交流近江八幡大会」の会場で展示される。大会では、上田正昭京大名誉教授の講演や両国の伝統芸能の上演、朝鮮通信使が通った街道で、行列を再現するパレードなどが行われる。

写真=約三百二十年ぶりに再現された朝鮮通信使の饗応料理。杉盛り技法が用いられている(近江八幡市立資料館)

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