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三重 |
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幽玄の世界に観客うっとり
かがり火に浮かぶ特設舞台で演じられた能「田村」=伊賀市上野丸之内の上野公園で |
◆伊賀上野城 薪能に2500人
能楽の創始者観阿弥や息子世阿弥の生誕地とされる伊賀市の伊賀上野城前広場で18日夜、薪能があった。約2500人の観客は、かがり火に浮かぶ特設舞台で繰り広げられる幽玄の世界に浸った。
市や、城を管理する伊賀文化産業協会などでつくる実施委員会が「中秋の名月」に合わせて毎年開いている。
今年の演目は金春流の能「田村」「海人」、大蔵流の狂言「文山立」。
辺りが薄暗くなった午後6時、かがり火がともされると、舞台奥に伊賀上野城の白壁がうっすらと浮かび上がった。舞台上では重要無形文化財保持者の能楽師らが、笛や太鼓の音に合わせて熱演。観客は優雅で柔和な舞に酔いしれた。 (森本 智之)
◆浜にかがり火「迎月の宴」 津の阿漕浦海岸
中秋の名月を愛でながら、海岸を題材にした能を鑑賞する「伊勢の国 阿漕(あこぎ)が浦 迎月の宴」が18日夜、津市の阿漕浦海岸で開かれた。
かがり火がたかれ、浜辺は情緒あふれる空間に。特設舞台で喜多流の能楽師長田驍(たけし)さん=津市=らが「阿漕」を舞った。満月が見える中、約1000人の観客は幽玄の世界に息をのんだ。静かな波音も笛の音と交じり合い、風流さを演出した。
宴は、地元住民でつくるNPO法人「阿漕浦友の会」の主催で、10年目を迎えた。唐人踊りや和太鼓演奏など伝統芸能も披露された。鑑賞しながら、日本酒を静かにたしなむ観客の姿も見られた。 (高橋 健一)
◆舞人優雅に 伊勢神宮外宮で恒例の観月会
十五夜の18日、伊勢市の伊勢神宮外宮で恒例の観月会が開かれた。勾玉(まがたま)池に浮かぶように立つ奉納舞台で、神宮楽師が舞楽を披露するなど幻想的な雰囲気に約1000人の観衆は酔いしれた。
市観光協会と神宮司庁が主催。奉納舞台では、純白の浄衣姿の神宮楽師による短歌や俳句の披講に続き、華やかな衣装を着けた舞人が笛や琵琶、琴、篳篥(ひちりき)などの音に合わせて優雅な舞を演じた。
月の出からしばらくたった午後6時半すぎ、神域に広がる森の上から、赤みを帯びた満月が姿を現すと、写真愛好家らが盛んにシャッターを切っていた。 (河原 広明)
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