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三重 |
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近世の町並みが具体的で価値
「津八幡宮祭礼絵巻」が里帰り
津の祭礼を描いた最も古い絵巻とされ、米国ニューヨークから“ふるさと”の津市に戻って展示されている「津八幡宮祭礼絵巻」についての講演会が二十五日、津市の県立美術館講堂で開かれ、三重大創造開発研究センターの菅原洋一助教授がスライドを使い、絵巻を紹介した。
絵巻は江戸時代前期の津城下の町並みを描いているとされ、上下二巻合わせ長さ約三十八メートルに及ぶ。いつ、誰が描いたかは、はっきりしていない。
菅原助教授は聴衆約八十人に対し「近世の町並みや祭りがこれほどまで具体的に分かる絵巻は、全国的に見てもない」と価値の高さを強調。
「絵巻の作成年代は江戸時代の延宝から貞享にかけてだろう。(描き手は)町人の生活への関心が希薄で、藩の中枢人物が描かせたと考えるべきではないか」と持論を展開した。
絵巻は戦後に海外へ流出したとみられ、現在は「ニューヨーク・パブリック・ライブラリー」に所蔵されている。国内に戻るのは一九八七(昭和六十二)年に神戸市であった展覧会以来二度目で、県内は初めて。十月十一日まで県立美術館で開かれる「まつり・祭・津まつり」に展示されている。
講演会は、津文化協会が昨年から隔月開催している「郷土史シリーズ」の一環。(沢田敦)
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