中国での延滞債権と回収について
    中国に進出している日系企業或いは中国に進出しないものの、中国向け製品販売を行っている日 系企業は中国の債権回収に悩まされている企業は少なくないことと推測している。この問題をどうや って解決できるかについての問い合わせも少なくない。実際この問題を解決する速効薬もないものの、 予防薬としてあるのではないかと考えている。或いは中国特有な方法で延滞債権を回収出きる可能性も あると考えているため、今般から東海日中貿易センター調査誌のスペースを借りて、弊社の長い中国ビジ ネス、債権回収及び信用判断の経験で中国における売掛債権の延滞状況と回収の実態を明らかにし、 日頃中国と業務関係のある日系企業の皆様はこの苦い貴重な経験を参考にしていただき、出来るだけ 中国で不良債権を作らない、或いは不良債権を少なくすることにお役立つことになれば、幸甚です。

    これは中国の特有な事情かもしれないが、年末になると、中国企業の総経理たちは連日連夜、不味い 宴会への参加が続き、殊のほか忙しくなる。日本でも年末になると忘年会とか年末の挨拶廻りなど、忙 しくはなるが、それはこの一年のご愛顧に感謝する、という意味あいの、儀礼的なものでもある。しかし中 国におけるそれは年末決算(中国の企業の決算期は国に統一され、カレンダー年末である)に合わせて、 売掛債権を如何に減らすか、という意味あいを持ち、総経理たちは一生懸命活動するのである。売掛債権を 早期に回収するということは企業のキャッシュフローへの影響にとどまらず、銀行から借入金がある企業は 今後銀行からの融資を継続してもらうため、大変に重要なのである。
    中国企業ですら売掛債権回収に悩まされている現状で、中国に進出した日本企業が売掛債権回収に悩ま されることは不思議ではない。

1.中国での資金決済手段

    債権回収の基本はまず中国での資金決済の仕組みを理解することであり、債権回収を議論する前に、中国 ではいくつか資金決済の手段があることについて簡単に説明しておきたい。
    1988年4月より、中国では手形と小切手を主体とする新しい資金決済手段が導入された。しかし当時はまだ 手形と小切手を導入はしたが、それも中国流で手形と小切手に関する法律はまだなかった。
    1995年5月中国政府が「手形法」を公布し、翌年1月に施行された。1997年8月に「手形管理実施規則」が 施行されたことにより、中国の手形と小切手に対する法的な裏付けが一通り整備されたと言える。
    2005年6月に中国人民銀行(中央銀行)は手形と小切手の使用を促進するため、地域またがる手形と小切手 の決済クリアリングシステムも導入された。
    現在、中国では現金事故、不正取引(現金による個人へのバックマージン)を防止するため、手形と小切手を用 いる資金の決済が主流となりつつあり、流通量もかなり増加している。下記のいくつ種類の手形と小切手を簡単 に紹介しておきたい。



    前述の手形と小切手での債権回収の決済手段以外、現金での決済と送金での資金決済の手段もあるが、 現金と送金の決済は広く理解されていると思われるので詳細な説明は省略する。
    中国の小切手と手形の意義及び法的拘束力についてもう少し説明を加えておきたい。

  • 自己宛小切手は日本と同様で銀行は顧客から現金を受け取って、小切手を振り出すため、信用力はある。
  • 小切手は私企業が振り出すもので、信用力は振り出す企業によって異なる。
  • 2002年、中国はパーソナルチェック制度を導入し、各銀行は相次ぎ個人小切手教務を開発した。しかしながら、個人小切手に対する信用力がないため、個人小切手の普及に支障が生じている。
  • 中国の手形法には手形と小切手の不渡りに対して、銀行取引停止処分という法的処罰規定がないため、企業が小切手を持って騙すケースもあるので、特に要注意。一般的に言えば、小切手を銀行に持ち込んで入金を確認後、ようやく安心できる。(余談:ある企業は取引先に対して代金を支払いたくないため、わざと小切手に登録と違った印鑑を押すケースもある)
  • 銀行引受手形は手形振出人が口座開設銀行に引き受けを申し込み、銀行の審査手続きを経て引受行為を行う。銀行は振出人の代わりに代金支払人となるため、信用力がある。同手形は譲渡及び銀行での割引も可能のため、資金調達にも利用されている。
  • 商業引受手形は手形を振り出す企業法人の信用補完手段として、第三者の企業法人が同商業手形を引き受ける。この引受行為は同手形支払に対する保証行為でもある。但し、同手形の不渡りに対する法的処罰規定がないため、信用力は引受企業によって異なる。

    上述した様に手形と小切手の不渡りに対する銀行取引停止の法的処罰規定がないため、日本のように手形を 銀行に持ち込むよという脅しを債権回収の手段に使う訳にはいかないのが中国らしいところと言える。
しかしながら、中国政府も手形と小切手の不渡りに対して、問題を意識し始め、2005年5月に中国人民銀行は手形 と小切手の不渡りに対して、新たな金銭的と行政的な罰則制度を導入した。

    1.手形と小切手の額面金額の5%の罰金(最低1000元、13000円相当)
    2.不渡りのブラックリストを作成し、同地域手形交換所の銀行へ通知。
    3.支払い銀行が不渡り事故の不報告への行政処罰を科す。

    この罰則規定があるものの、どこまで効果があるかは一定の期間を経て観察しないと、何とも言えないのが正直なところ。中国よくあることは規定があるが、実行されない。

2.延滞債権の発生原因

    世界どこの国でも債権回収不能のリスクは存在しているが、そこに共通する主要な原因は販売相手先企業の資金不足 によるものである。しかしながら、中国ではその原因は様々で、その原因を把握することが中国に進出している日系企業 の確実な債権回収並び不良債権未然防止に繋がると考える。

@業績不振

この理由は何方にも分かるが、企業の業績不振により買掛債務、借入債務及び保証債務に対する 弁済履行が出来なくなる。

A三角債

    「三角債」という言葉は耳慣れない方が多いかと思うが、まず、「三角債」の仕組みについて簡単に説明しておきたい。
A社はB社より部品を調達し、製品を生産する。B社はC社より部品を調達し、製品を生産する。C社はD社より 部品を調達し、製品を生産する。この販売構図の物と金の流れは下記の通り。



    ところが、A社が製品の販売代金を回収できない理由でB社への部品購入代金支払いを拒絶し、B社がA社から製品販売代金を回収できない理由で、C社への部品購入代金の支払いを拒絶し、C社がB社から製品販売代金の未回収の理由でD社へ部品購入代金支払いを拒絶することが所謂「三角債」である。
    結局、製品を売っても代金が回収できない状況で、企業によっては分割で支払う場合もあるが代金回収までの期間が長く、結局企業の運転資金が無くなり、この為に部品代を支払えないという債務不履行の連鎖現象が起こる。
    90年代後半の中国の「三角債」の推定残高は1兆3千億人民元(円換算すると約18兆円)という統計もある。中国政府は「三角債」の問題が経済の発展を妨げていると考え90年代中頃、経済発展の障害である「三角債」の問題解決に注力した経緯がある。現在、この「三角債」の残高がかなり減少しているものの、中国人の習慣及び発想から見ると、この「三角債」問題の徹底解決までにはかなりの歳月が必要、同時に社会の環境整備及び企業(人)の認識を変える必要もあると思料。
    この「三角債」の為に「受注はあるが生産すればするほど赤字が増えていくので、生産を控えている」「売上を回収できないので部品代を払えないから、逆に部品購入が出来ない 」という悪循環に陥る企業も少なくない。
    実際問題としては「三角どころか八角にも十角にもなっている」というところもあり、一部企業ではお互いに「三角債」を利用しているところもある。
    このような「三角債」を理由に仕入れ代金を長期支払わない中国の習慣を大手日系企業までに蔓延している。

B銀行融資停止

    一般企業が運転資金を銀行から調達するか、金融市場から直接調達すかはどこの国でも共通である。企業の業績不振で銀行が融資をストップするケースも同様であるがここで違う事情を列挙して おきたい。
    数年前、日本の銀行でも銀行自身の業績不振が目立ち始めた頃、国際決済銀行(BIS)規制の国際業務展開に最低自己資本比率基準8%を達成するため、期末になると、弱者である中小企業向け融資を渋ったことは皆様の記憶に新しいのではないだろうか。中国では銀行自身の業績の善し悪しと関係なく、各銀行は年末になると、国の計画した貸出枠をオーバーしないようにするため、貸し渋りが発生し、運転資金不足から債権回収が困難なケースが頻繁に起こる。
    毎年、中国政府は経済発展計画を立て、この計画に沿って資金供給量及び銀行貸出量の計画も立てられる。政府は各銀行の資産規模に応じて新規貸出融資枠を提示する。各銀行はこの枠内に新規融資を実行する。中国人の性格とも言えるが、国は計画経済であるが、個人は無計画が多いため、年の前半に年間貸出枠の6−7割を消化してしまい、年末が近づくと、貸出枠が無くなってしまうことにより、新規融資(手形書き換えを含む)を出来なくなる。
    もう一つ、中国の銀行と日本の銀行との新規及び継続更新の定義が違う。
    日本では、手形書換或いはローンの期限更新は新規融資ではないと解釈されるが、中国では、融資の継続という概念がなく、融資期限到来時、必ずローンを一旦返済し、新たな融資を実行するため、銀行の都合で融資継続されない可能性が極めて高い。
    海外ではあまり考えられないことだが中国でよく発生することのもうひとつは経済過熱或いは何か特殊な事情により国が銀行に対して緊急融資規制を発動し、企業としては突然融資を受けられなくなってしまうケースである。
    最近、中国ではまた外貨借入に対する規制が厳しくなってきて、一部日系企業の資金繰りにも支障がでるほど厳しくなった。今回、今まで中国にない逆のバッタン外貨流入を規制する動きである。つまり外貨保証による人民元借入制限である。中国では外国企業が投資を行う時、外貨融資可能な限度枠という概念があった。

     外貨融資可能な限度枠=総投資金額 − 資本金金額

ところが、今まで地域によって厳しいところと厳しくないところがあったため、厳密運用されなかった。この度人民元切り上げに関する外貨流入に制限を設けたいため、この外貨融資可能な限度枠の運用が厳しくなった。一番被害を受けた企業は下記のような企業である。

     総投資金額20万米ドル−資本金金額20万米ドル=外貨融資可能な限度枠0

    上記の如く、企業は常に銀行から融資を受けられなくなるリスクをかかえており、結果として部品仕入先からの売掛債権回収不能に至るリスクも高くなるのである。

C理不尽な発生原因(理由)

    理不尽な理由にはいくつものケースがあるが、この理不尽な理由による債務不履行に日系企業はよく遭遇している。

  • 購入物品値下げ

        品物の値下げは市場経済原理上起こりうることであるが、中国においてはバイヤーが購入した部品が二日後 大幅値下げとなった場合、バイヤーは損を被った気持ちとなり商品代金を 支払わない、と購入先に宣言する。その後、購入した品物の値下げ交渉を始め一部商品代金の支払いを逃れようとする。
        自動車ローンの不良債権化の一つの理由は自動車販売価格の大幅な値下げで、購入者は損 を被った気持ちとなり、ローンの返済を拒絶し、銀行に担保品である車を引き取らせ、銀行はそれを処分してローン 返済金に充当させるわけだが、不足金が生じた場合は、返済不足金の支払いを必死に逃れようとするので結果と して不良債権となる。

  • 財務担当者の実績作り

        海外企業の財務担当者がバランスシートの体裁を整えようと、銀行からの運転資金借入圧縮に努めるため、販売代金の回収サイドを極力短縮し、原材料仕入れ代金の支払いサイドを出来るだけ長くすることは一般的である。この売掛金回収と買掛金支払いの取引条件は取引前にバイヤーとサプライヤーの交渉により取り決められる。
        ところが、中国企業の財務担当者は取り決めた取引条件を無視し、いろいろな理由を付けて、極力支払いを延ばし、運転資金圧縮と財務費用軽減に努め、財務担当者としての実績を作って、経営側に高く評価して貰おうとする。
        あまりにも買掛金支払いを延ばすと、サプライヤーが資金繰り悪化により黒字倒産に見舞われる可能性すらあるため、中国企業は買掛金を支払う際に、相手企業の様子を窺いながら、支払い順番を決めていくケースもある。つまり、支払先が中小企業でこの販売代金を貰わないと、従業員の給与すら支払えない恐れがあれば、優先的に代金を支払う。支払先が大企業で、これぐらいの代金を払わなくでも問題が生じない企業であれば、支払いを先延ばしにする。
        憂うべきは一部大手日系企業も中国に進出して、この悪習慣を身に付けて、財務部長がこのような支払い方法を奨励しているケースすらあることだ。販売先が代金支払い状況をこのような財務部長に聞いても、惚けた回答しか返ってこない。(要注意!!!)

  • ファイナルペイメント逃れ

    T.通常取引においては、商品検収後○日払いのケースがよくあるが、中国では一部企業は理由もなく商品 の検収がなかなか終わらない、と言って支払いを故意に伸ばすケースをよく見かける。サプライヤーが販売代金 の支払わない理由を聞いても、商品検収が終わらないから支払えない、という回答しか得られない。商品検収が いつ頃終わるかを聞いても、自分は担当ではないので担当部門に聞いてくださいなどといわれ振り回され、売掛 金の回収がなかなかできない。

    U.工事代金及び設備代金の支払い方法として、売買代金の何パーセントを契約時払い、売買代金の 何パーセントを貨物到着後払い、売買代金の何パーセント残金を工事検収後○日で支払うことは通常の取引 中にごく普通な取引方法の一つである。中国においてもこのような取引は例外ではない。ところが、一部中国 企業はこのような取引スキームを悪用して、いろいろな理由で工事検収を伸ばし、残金支払いを逃れることはよ くある。初めて中国で商売を行う日本企業はこの手の代金支払い逃れに不慣れのため、最終的な支払いの回 収に苦労している企業は少なくない。

    V.今年に入って、中国大連で一つファイナルペイメント逃れの裁判があった。原告は日系の大手建設会社である。 被告は日本で倒産したマイカルが出資した中国の合弁会社である。争点はファイナルペイメント不払いであった。 山東省の高級法院での判決は原告側の主張を認めない結果となったため、北京の最高法院で問題解決を図っている。

    D売買契約書を締結せず

        製品販売を行う際に、販売価格と代金回収時期は最も重要な販売条件である。一般的な営業マンはまずこの2点について販売先との交渉し、販売価格と代金回収時期を決定する。売買契約書に署名した上、商品を受け渡しする。
        中国の営業マンは売掛金早期回収のメリット、或いは売掛金回収遅れが企業運営に与えるデメリットを理解しない人が多い。そのため製品販売を行う際、販売価格交渉は行うが、販売代金売掛金回収条件の交渉を行わず、且つ売買契約書も交わさないため、結局、製品を販売先に受け渡した後、代金回収の段階で明確な契約書がないため、いろいろな理由で商品代金の支払いを遅らせ、代金回収がなかなか進まず最終的に不良債権となってしまうケースはよくある。
        外国人は中国が人治国家であると思いこんでおり、契約書締結の重要度に対する認識度が低い方がまだ多いかと思うが、現在の中国では裁判によりトラブル解決を図ることも少なくないため、裁判で有力な証拠となる契約書がないと、債権回収に支障がおきることは言うまでもない。

    ELC(信用状)による延滞

        日頃、日本企業は外国企業向けに製品販売を行う時、資金の決済及び債権の保全手段として銀行 発行のLCをよく利用しているが、国によっては外貨事情などのカントリーリスクによる支払い遅延がよくある。 中国は外貨が豊富であるため、現状においては外貨不足による支払い遅延の懸念はないものの、個別の銀行 或いは販売先の特殊事情による支払い遅延がよくある。何故中国の銀行発行のLCにトラブルが多いのかを説 明していきたい。
        60年代、中国は外貨不足であったため中国企業は中国の銀行にLC開設を依頼する前に、中国国家計 画委員会(現在の国会発展改革委員会)から設備或いは原材料の輸入外貨購入枠の認可を取得し、さらに外貨 管理局から外貨購入枠の認可を取得しなければならなかった。中国企業は上記の二つの認可申請・取得というプ ロセスを経て、ようやくLC発行申請の手続きに入れるのだ。中国の銀行はLC発行依頼企業から100%預金を 担保として徴求し、外国銀行向けLCを発行する。外国銀行からLC決済を求められた時、企業の担保預金を用い て外貨を購入し、対外資金決済(外貨支払い)を行う。その時代には外貨の規制(外貨調達不能)により資金決済 が出来ないケースは殆どなかった。
        ところが、80年代後半に入り、中国政府は今まで海外との取引を独占してきた中国銀行(Bank of China) の外国為替業務を一般の銀行にも門戸を開放しはじめ、銀行の外国為替業務部門は競争の時代に突入し、日増し にその競争が激化してきた。しかしながら、外貨は厳しく管理されており資材輸入のLC開設のプロセスは引き続き 上述と同様であった。
        90年代に入り、信託会社および地方銀行の外国為替業務への参入により、銀行の競争は一段と激化しLC開設の 際 取引先から100%預金を担保として徴求することが段々不可能となったため、100%預金担保でのLC開設と いう牙城が崩れ、中国の銀行も企業信用リスクを取るという考え方がグローバルスタンダードとなってきた。
        90年代半ば頃から、中国の外貨準備高も増え貿易の経常取引による外貨購入も自由化されたため、中国の銀行はLC開設の際に上記の二つの認可申請・取得というプロセスは不要となった。LC開設申請企業の信用度により、預金担保徴収の比率も違い、大手銀行の場合は預金担保徴収 比率が70%までに低下しているが、外国為替業務への新規参入の地方銀行などはその預金担保比率が更に低下し、無担保・無保証でもLCを開設できるような時代となった。そのため 中国の銀行支店の融資課は企業の信用リスクに応じて、預金担保不足の決済資金の融資枠を設定する手法が導入された。
        時代の流れに伴い、中国の銀行のLC開設は上記のように変化してきた。このような変化は歓迎すべきだが、一方、中国の銀行のLC決済遅延のケースも多くとなった。
        通常LC開設からLC決済までには大体1ヶ月以上の時間を要し(通常一覧払いのケース)、設備の輸入の場合はLC開設から決済まで6ヶ月以上もかかるケースが少なくないが、LC決済までの期間中に下記の事由により、LC決済資金不足が生じることがよくある。

    T中国は社会主義の計画経済であるため、毎年2−3月頃、中国人民銀行(中央銀行)は融資限度額を国家予算として各銀行に配分している。配分直後は融資限度枠に余裕があるため企業向け融資基準が緩いが、年末になると、限度枠がなくなって、企業への新規融資を翌年に回すケースがよくあるため、期日が到来するLCが決済不能に陥るケースが発生。

    U中国経済が過熱すると、中国政府は金融引締めの急ブレーキを踏む、つまり銀行に対して企業向け新規融資を一斉にストップさせるため、LC決済用の資金の新規融資もできないことになる。

    VLC開設銀行はLC開設企業向けに決済用の融資枠を設定しているが、他の決済資金に転用してしまい、LC決済用の資金不足が生じるケースもある。

    WLC開設依頼の企業の業績が悪化し新規融資を受けられなくなり、LC決済の遅延が発生することもある。

    X中国の場合、企業が刑事事件(当事者或いは被害者)などに巻き込まれた時、警察又は裁判所の命令で口座の資金を凍結され、LCの対外決済もストップとなる。

    Y中国は外貨を厳しく規制している国であり、外貨規制制度の変更により、LCの決済ができないケースもある。

    Z外貨規制上、中長期のLC開設の場合は必ず事前に外貨管理局から認可を取得しなければならないがこの認可を事前に受けなかったため、結局LC決済ができない。

        信用状(LC)統一規則の主旨を照らせば、輸出書類とLC内容と不一致点さえなければ、上述の理由と関係なく、銀行は開設したLCの決済義務を負うが、中国はそうではない銀行の支店が多い。
        中国の銀行は日本の銀行と違って、各支店は一つの法人という位置づけで独立採算を行っており、都市部の支店はLCをよく理解しているが、地方レベルの支店になると、LCに対する認識度がかなり低下しているので、銀行の地方支店に行くほど上記のような現象がよくある。

    3.延滞債権の未然防止

        延滞債権が発生してしまうと、回収にかなりの体力が必要、延滞債権を全額回収出来なければ、 結果としてロスが発生する。延滞債権をなくすため、未然防止が大事、以下は紹介したい延滞債権の未然防止方法である。

      @取引前の信用調査

        通常、新規企業と取引を開始する前に、信用調査を行って、その会社の信用状況を確認してから取引条件 などを取り決める。当然ながら企業信用状況が好くなければ、売り掛け期間を短縮し、或いは取引しないとう手段を 講じて、リスクを極力 ミニマイズする。
        中国でも企業の信用調査ができることを知っている企業は多くないかと思う。現在、中国での企業信用調査も 出来るようになっており、弊社もその信用調査をお手伝いしている。
        しかしながら、一つ注意しなければならない点がある。中国企業の帳簿が二重三重にあることはごく普通のこ とで(株式市場に上場している企業は概ねきちんとしている。)信用調査のデータは毎年営業許可書更新に使われて いる決算計数、つまり工商管理局に登録しているデータである。このデータを信用していいかどうかは個別企業の判断 となるが、小生の経験によると、このデータを詳しく分析しないと、信憑性には疑問がある。何故なら、中国の企業が税 務署・工商管理局・銀行へ提出する決算書は使用目的によってそれぞれ違うことが多い。このようなことが当たり前の ように行われていることが現在中国株式市場の低迷に繋がっているのではないかと思う。
        中国の企業決算書を分析する際に一番調査する必要がある項目は売掛債権或いはその他未回収債権である。 つまりこの勘定には処理できない延滞債権等々の科目の全てが放り込まれており、この勘定を詳細にチェックすることに より企業の支払い能力及び倒産の可能性の有無が推測できる。
       信用調査を行う時、相手先の出資者、財産状況、沿革なども調べられるので、これらの材料を詳細に検討してその 企業の信用状況を判断された方がよい。
        以前はこのような取引前の信用調査は中国に存在しなかったため、中国人営業マンは信用調査の概念が殆どな く、義理人情で取引を行うケースがよくある。

    A営業マンの教育

       中国の営業マンは売上高を過度追求する傾向があり、契約法律に対する知識が不足しているため、今までの中国 の商習慣で顧客との商取引が多く見られることから、その契約の意義及び重要性を営業マンに対して教育することは大 事である。
       もう一つ中国人の営業マンは資金回収に対する認識が甘いところがあり、物を売って如何に資金を早く回収するか によって、企業の業績向上に繋がるかも十分教育する必要もある。
       実に言うと、一部中国企業は営業マンに対する総合的な実績評価制度を導入し、かなり効果を上げている。

    B中国契約法に基づく防衛手段

    T契約法制定の背景

        現在の契約法が制定される以前、中国の、契約に関するいくつかの規定は、主に民法通則とそれに関する 司法解釈がある。更にその後、契約三法といわれる「経済契約法」、「渉外経済契約法」、「技術契約法」が契約に関 する法律として、1980年代制定されてから15年近く存在した。そして1999年の10月、現行の契約法が実施された ことによって、民事契約と経済契約の区別はなくなり、国内契約と渉外契約との区別もなくなった。

    U契約法の位置づけ

       現行の契約法は、その施行以来、契約当事者の権益保護、市場経済秩序の維持、経済発展の促進などの面で、 大きな役目を果たして来た。
       日本企業の皆様が、これから中国と取引関係を進めるに当たって、中国の契約法を理解することは、契約書の 作成、準拠法の選択、契約紛争の予防と解決を万全にするために、大変重要なことと思われる。

    V契約法の適用範囲

       契約法は、中国全体の約80%の契約関係の法的根拠となっていますが、いくつかの契約には適用しないので、注意する 必要がある。適用できない契約の一つの例としては、たとえば、皆様が中国に進出して設立した現地法人とその従業員 との間の雇用契約など、これは中国の「労働法」等の法律により管轄されるため、契約法には適用しない。

    W売買契約書の締結

       中国企業との売買契約の締結にあたって、中国の契約法に基づき、どうしたら最大限に不良債権の発生を防止できる のかを説明していく。
       まず、実例を一つ挙げると、「取引先から『納期が迫っているので、契約を交わす時間がない、すぐに製品を納入してほし い。契約は製品納入後2、3日後に締結する』といわれたので、契約書を交わさずに製品を納入してしまった。」という事例 があった。
       しかし、後日相手の会社に代金を請求したが、「契約した記憶も無く、また、製品もうけとっていない。仮に製品を受け取った としても、うちの社員ではない」といわれ、代金を回収することができなくなった。
       このような悪意のある相手に出遭うことは、少々極端な例かもしれないが、やはり酷い目にあわないようにするためには、 次の二点に充分注意しなければならない。

    1) 契約の形式

       中国契約法の第十条によりますと、「当事者が契約の締結をするときには、書面形式、口頭形式及びその他の 形式がある。」となっているから、契約は書面によらなくても、口頭で成立する。しかし、後日代金回収ができなくなり、 訴訟を起こして相手方に代金の支払いを求める時には、中国の民事訴 訟法の規定によると、まず、訴訟原告側が契約成立を立証しなければならないので、口頭でしか証拠がないとその立証 が極めて困難。
       もちろん、契約書がない場合は、間接証拠を集めて契約の成立及びその内容を立証するが可能であるが、大変な体力 がかかる。契約書があれば、契約の成立・内容・債権債務関係を簡単に立証できるので、自己の債権を保全するため、 どんなに急いでいてもしっかり事前に契約書を交わしておいた方が間違いない。

    2) 証拠の確保

       本例のような場合、仮に製品の引き渡す時に受領証をしっかり取っていれば、少なくとも相手方に製品の受領があったこ とを証明できるから、代金の回収又は製品の取り戻す可能性が高まることから、契約を交わさないで、製品を納入する場 合、最低でも受領者と会社との関係を証明する社員証のコピーなどを取ると同時に、製品の受領証にサインさせる 必要がある。これは、証拠の一部に過ぎないが、こういう証拠がしっかりあれば、契約書がなくても売買関係を立証する 有力な補完手段となる。

    3) 契約締結権者及び社判

       「ある会社の課長が契約書にサインしたが、裁判所によって、本契約は会社との関係なので、無効と認定された。」であ る。無効となった理由は社判(社印)がなく、代表者のサインじゃないことである。
       中国の会社と契約する場合、会社が当事者となるので、多くの場合、契約書に法定代表者がサインをし、社判を押 すという形になります。特に社判が押してあれば、代表者によって締結されたことが強く推定されますので、必ず社判を 押してもらう必要がある。
       もし、契約相手方の課長或いは部長が契約を締結しようとするならば、法定代表者から、事前に契約のサイン権限 の授権書を得る必要がある。 中国では、発生した不良債権ケースの80%以上が契約書の中身に不備があることが原因と言われている。契約書を交 わすのは、権利関係の明確化以外に、後の紛争を予防するという目的も持っている。ここでは、弊社の経験を踏まえて、 不良債権発生を予防するために、契約書にどのような内容を盛り込んだら良いのかを簡単にご紹介する。

    @支払い時期の明確化

    契約書に「何日までに代金を支払う」と明確に規定することは重要である。もし具体的な期日を確定できない場合は、少 なくとも「何をどのように完了した場合、仕事の完成と見なす」など、完成の定義を明確化して、完了すべき項目を列挙し ておいたほうがいい。

    A検収の限定

       「製品を受け取った時に、品質や、数量に問題があったから、代金を払わない」というようなことが 起こらないように、商品をバイヤーに納入するときに、製品数量の過不足、外観損傷の有無等、引き渡し検収を実施することをお勧めします。

    B商品仕様の明確化

       悪質なバイヤーが購入した商品に問題があると言いがかりをつけ支払いを引き延ばしたり代金減額を要求したりするケースもある。これをプロテクトするため、商品仕様を明確にし、且つバイヤーにこの商品仕様書に署名して貰うと効果的である。

    Cクレーム期間の設定

       実際に聞いた話であるが、エアコンを客先に納入したところ、半年以上も支払が滞納しているため催促を行ったところ、「空調のあちこちに錆が出ているため代金は支払わない」ということでした。メーカー自身は「客先側の漏水対策が不十分なため錆が発生した」と主張したが、客先は「納入時から錆があった」と主張した。
       このような場合、「錆の発生」に関する帰責事由の有無が争われるが、時間が経過した場合は、納入時の状況を正確に立証する事は容易ではない。このような面倒を防ぐために、事前に相手方がクレームを主張できる期間を一定期間内に制限しておくと、このようなことを防げる。

    D製品供給ストップ条件の明文化

      自己防衛のため、販売先が支払い不能となった時、いつでも製品供給をストップできる、或いはバイヤーが 重大な事件があった時の製品供給ストップ条項の挿入は大事である。その時、製品供給をストップした場合は、 サプライヤーの責任ではなく、バイヤーの責任であることを明確にしておくことは重要である。

    E違約金を事前に約定

       今まで見てきた多くの契約書には違約金、或いは遅延損害金について曖昧な表現しかないケースが多く、 その基準の不明なので、結果として賠償金をもらえなくなることがあった。
       違約金を明確に規定しておけば、期日通りに支払いを行うよう相手方に心理的な圧力を与えることができ、 又は仮に期日を過ぎたとしても、規定に応じた違約金を取ることもできる。

    F契約解約条項

       取引先と契約を交わしたが、実際には、相手がその契約通りに履行できないこともある。このような事態が起こっ た時に、前もって契約解除に関する条項を盛り込んでおけば、いつでも解約できる。
       契約解除の事項は、契約法では、法定解除事項と協議解除事項がある。法定解除事項としては、例えば、不可 抗力によって、契約の目的を実現できない場合、または、履行期限が来る前に、当事者の一方が契約を履行しない ことを明確に表示する場合などがある。
       また、協議解除事項は契約の具体的な内容によって違ってくるが、双方が合意の内容に基づけば、いつ でも解約できる。

    G契約内容変更の明文化

       契約書の内容を変更するとき、お互いにエビデンスを確保するため、覚書を交わすことが必要である。また、覚 書には必ず元の契約書及び本覚書に未記入の事項は、元の契約書条項に準ずる旨を記入しておくことである。
       もしこれらの内容が記入されなければ、独立の契約書と見なされるケースもあるので、裁判などで不利になる可能性もある。

    H紛争の解決

       契約書に紛争解決方法について、協議による解決の書き方が多いが、それでも解決できない場合はどうする かの明確な書き方がないケースが多い。万が一紛争が起きた時に、協議ではなかなか解決できないケースが多い。
       裁判所に提訴しようとしても、中国の民事訴訟法によると、契約中に特別な約束が無い限り、契約は、被告所在地、 または契約履行地の裁判所が管轄することになりますので、代金回収のできない原告が日本企業の場合、明らかに 不利になると思われる。最後の手段として訴訟による紛争解決を望んでいる方は、なるべく訴訟管轄は、自社が訴訟 をしやすいところに設定して置くことをお薦めする。
       仲裁はあらかじめ当事者が契約書の中で仲裁の合意をしておいた場合は、その仲裁合意で決められた仲裁機関が 国の法律法令に基づき、審理したうえで仲裁裁決を出すというものである。この仲裁機関とは、裁判所のように国が 設置するものではなく、一般に私的な団体が設置している。裁決が出れば、それを強制執行することができる。
       仲裁は日本ではあまりなじみのない制度のようであるが、中国では一般的な紛争解決手段としては、人民法院 (裁判所)における訴訟よりも、仲裁の方が、圧倒的に多い。どうして仲裁の方が一般的であるか、それは二つ理 由を考えられる。一つは、訴訟より、仲裁制度の強みということ、もう一つの理由は、今まで中国の裁判所は信頼性が 低くて、裁判官の資質に疑問があると信じられてきたということである。これまで中国においては元公務員や元軍人な どが裁判官をしている場合も多く、その知識や法的思考力に多大 の問題があることが見受けられた。
       中国でも2001年から、やっと日本と同じように、裁判官、検察官及び弁護士資格の統一試験「司法試験」制度を採用した。したがってこれから、裁判官になる者は必ず中国で一番難しい試験と呼ばれる司法試験に合格しなければならなくなった。司法試験制度の導入によって、中国の裁判官をはじめ、中国の裁判制度もこれから整備されていくことが期待される。
      以上仲裁と裁判を説明してきたが、契約書に仲裁するか訴訟するかを予め決めておく必要がある。

    4.延滞債権回収

      バイヤーからの売掛債権の回収に遅延が生じた時、サプライヤーとしてまずどのようなアクションをおこすべきか? 当然まず先方に電話で買掛債権支払いの遅延理由を確認する。その遅延の理由によって今後の対応方法を考えなけ ればならない。
      次に売買契約書内容を再確認し、サプライヤーサイドに落ち度がないかどうかを確認しなければならない。時々、バイヤ ーがわざと売買契約書にサプライヤーにとって不利な条項を挿入し、サプライヤーは中国で商売ができて喜ぶばかりで 、この不利な条項を中国の常識と勘違いし、不利な契約内容を受け入れてしまっているケースをよく見かける。結果とし て先方と交渉しても或いは法廷に持ち込んで係争しても、契約上バイヤーに有利となっているため、延滞債権の回収が なかなか進まないケースがよくある。こんな事例がある。『ある中国のバイヤーであるA会社が日本の部品メーカーB社、 C社及びD社からそれぞれ部品を調達している。支払い期日が到来するも、A社はB社とC社に対しては買掛債権の 支払いが遅延しているが、D社への支払いは期日通りに行われている。』よくよく調べてみると、D社がA社と結んでいる 契約書はD社の債権保全を強化していることが判明した。つまりD社はプロテクトができている契約書を結ぶことに成功し ていた訳である。
      サプライヤーは売買契約の内容を確認後、その契約内容に合わせて、債権回収の対応方法を検討する。債権支払いを 催促する際も、まず先方と一度会うことは大事である。できれば、双方ともに上級担当者同士の面談が望ましい。サプラ イヤーからは売買契約内容の遵守を要請し、支払い約束(スケジュール)を取り付ける。しかしながら、中国人は面子を 重んじるので交渉の際は先方の面子を潰さないよう注意したい。興奮したり先方を圧倒しょうと大声を出したりすると、 逆効果となることが多い。
      以前筆者が体験した事例を述べてみよう。『某日本の銀行のある中国系の香港企業向けのローンが延滞となった。先方 と数回交渉したが資金回収の遅れのせいでローン返済も遅れた、の一点張りで進展がない。日本人担当者が先方(中 国共産党幹部でもあった)と大声で喧嘩し始め、面子が丸潰れになったと感じた先方は開き直ってローン回収交渉を拒絶 してきた。』このケースでは先方は複数の銀行からローンを借り入れておりローン契約書に優先弁済条項がなかったので 関係が良好な相手への返済を優先的に行っていたのである。“関係が良好な、”と書いたが先方と食事をする、手土産を 準備する、といったことで築かれる“関係”も多いのが現実である。
      上記事例は日本では信じられないことであるが、第一回目にも触れたように中国では延滞債務者と食事することは日常 茶飯事であり、且つサプライヤーが延滞債務者と良好な関係を作ることが延滞債権早期回収の一つ手段である。延滞債 務者と良好な関係を構築できれば、同社の資金回収状況及び銀行からの新規借入状況を迅速に把握できるため、延滞 売掛債権の早期回収に寄与することになるのである。
      中国国営企業には必ず上級機関(管理監督の部署)があり(例えば、中央或いは地方の機械工業局など)、その頂点 は当然ながら 中央政府となるわけである。
    このピラミッド関係を常に認識した上で中国国営企業向け売掛債権回収方法を考えるのである。国営企業のトップは 在籍中の実績の積み上げで、上層部の幹部に評価して貰い、自分が出世でき、逆にマイナスの実績があると、出世 もかなわない。国営企業の上級機関と延滞債権回収交渉を行い、上級機関に国営企業の経営状態を認識させると、 場合によっては同国営企業への支援を行い、それが売掛債権回収成功に結びつく可能性もある。
       また 日頃からバイヤーを頻繁に訪問し、肌でバイヤーの経営状況を確認することも大事である。例えば、バイヤー の経営状態が悪化すると、次の現象がよく現れる。同バイヤーの従業員の志気の低下、リストラにより従業員の減少、 販売不振による原材料及び半製品の在庫増加、給料不払いによる従業員のストライキなどの騒動などが挙げられる。 このような現象があれば、いち早く売掛債権保全強化に乗り出すことができ他債権者より早い段階で債権回収交渉を 行える。
       しかしながら、外国人は中国に赴任してくると、言葉の障害及び仕事のやる気の低下で、 バイヤー訪問をせず、 中国人営業マンに任せきりにすることがよくある。中国人の営業マンは自分の販売実績しか考えないため、バイヤーの 経営状況が悪化しているにもかかわらず、商品を販売し続けて、結果大量の不良売掛債権が発生してしまうケースは よくある。
      中国での債権回収の最後の手段として裁判での解決がある。ところが中国らしい、というべきか中国の弁護士は裁 判官とよい関係を有するか否かによって、裁判の勝敗も左右される。もう一つは裁判を起こすことはお金がかかること から、相手資産の有無の確認も必要かと思う。もし、相手に資産がなく、或いは裁判中に資産を別の会社へ移して隠 した場合には折角裁判で勝訴となっても取れる資産も無く、裁判費用倒れとなってしまうケースがある。



    執筆者:上海良図商務諮詢有限公司

     CEO 郁 偉

    2005年6月