報 道


【東北工程】「高句麗財団の解散と同時に中国が攻勢」

高句麗研究財団前理事長・金貞培氏インタビュー

中国が「東北工程」を通じ、古朝鮮・高句麗・渤海など、古代史の歪曲(わいきょく)を強力に推し進め、一方では白頭山 でアジア大会の聖火を採火するなど、次第にその本心をあらわにしつつある。

こうした中国の新たな歴史攻勢について、高句麗研究財団の金貞培(キム・ジョンベ)前理事長(元高麗大総長)は「現政権 の間違った対応政策によって引き起こされたことだけに、一層嘆かわしい」と語った。

設立してわずか2年で解散し、先月、北東アジア歴史財団に吸収・統合された高句麗研究財団。本紙はその責任者であった 金前理事長に、6日までで3回以上のインタビューを行った。

以下は、金前理事長との一問一答。

−中国が「東北工程」を通じて歪曲を強化しているのに続き、白頭山で聖火の採火まで行ったが。 

「しばしば歴史歪曲問題が(現実の)領土問題に結びつけられ、その一線を越えている。われわれは以前から、中国が次の段階 として古朝鮮の歴史を歪曲するだろうと予想していた。高句麗研究財団が解散する前は、中国も歴史問題に対して非常に慎重な 態度を見せていたが、解散と同時にこのような攻勢が始まったのは憂慮すべきことだ。今や、国民も学界も事件が起きたときだけ 興奮するのではなく、再び団結して対応すべきだ」

−高句麗研究財団の解散についてどのように思うか? 

「中国との“歴史戦争”の最中に、“高句麗”という看板をあっけなく下ろしてしまったのは大変間違ったことだ。高句麗研究財団 があったからこそ、光復(日本の支配からの解放)以後、初めて北方史研究を発展させる体制が整備されたのに、その中心となる 財団がなくなり、研究の勢いが失われてしまうのではないかと心配になる」

−北東アジア歴史財団は北東アジア全体の歴史問題と独島(日本名竹島)問題について、研究と政策を同時に推進するとしているが。 

「歴史とは基本的に研究するものであり、政策とはなじまないものだ。研究と政策を同時に推進すれば、研究が政策に従属させられる 懸念が生じてくる。われわれが作成した高句麗史の資料を各学校に配布しようとしたところ、外交通商部の反対で阻止されたことも あった。また、中国と連帯して日本の歴史歪曲に対応することもあれば、その反対の場合もあるのに、一つの機関ですべてを担当する と混乱が生じるのではないだろうか」

−これまでの2年間、政府では財団の事業にどれほどの関心を寄せていたのか? 

「教育人的資源部の長官(教育副首相)であれ、次官であれ、5分から10分程度の話ですらろくに聞こうとはしなかった。国家的な 事業であるのに、どうしてそのように無関心でいられるのか信じられない。最初の1年間でようやく財団の枠組みを作ったと思ったら、 残りの1年は統合の圧力に苦しめられ続けたのが実情だ」

(盧武鉉大統領は昨年3月に日本との独島問題が発生すると、「歴史歪曲と独島問題を長期的かつ体系的に担当する機関を設置せよ」 との指示を下した。この指示を受け、「北東アジアの平和のための正しい歴史確立企画団」が発足し、北東アジア歴史財団の設立準備に当たった)

−統合の話はいつごろ出たのか? 

「昨年の夏ごろから北東アジア歴史財団を外交通商部の傘下に設立し、高句麗研究財団を吸収・統合するという話が出ていた。 昨年9月の秋夕(旧盆)直後に金振杓(キム・ジンピョ)教育副首相(当時)と金秉準(キム・ビョンジュン)青瓦台政策室長 (正しい歴史確立企画団団長兼任/当時)に会った席で、わたしは統合に反対する一方で、北東アジア歴史財団を設立するとしても、 外交通商部の傘下に置いてはならないと主張した。歴史問題はあくまでも教師を養成し、歴史を編纂する教育人的資源部が指導・監督 すべきだと考えているからだ。わたしは“歴史が外交の下に置かれれば、政府の広報センターに転落してしまうだろうに、そんな機関が 出した研究成果をどの国のどの学者が信頼するというのか”と述べて反対した」

−その発言にどのような反応が返ってきたのか? 

「金秉準室長は、外交通商部傘下への統合は青瓦台の意志だと述べながら、“歴史が外交通商部の傘下であろうと、教育人的資源部の傘下 であろうと何の関係があるのだ”と話すので、わたしはとんでもない人だと思った。その後も正しい歴史確立企画団の関係者が何回も 訪ねてくるなど、政府から統合の圧力を受け続けた。結局、多くの人々を説得した末に、北東アジア歴史財団が外交部の傘下になることだけ は防いだが、これは今でもよくやったと考えている」

−2004年11月に「高句麗研究財団支援法案」が国会に提出されたが、結局は通過しなかったが。 

「今年4月21日、教育人的資源部の学校政策室長が“高句麗研究財団支援法案と北東アジア歴史財団法案を(政府が)同時に通過させるこ とにした”とわたしに述べたことがあった。それなのに、それから2週間も経っていない5月2日に北東アジア歴史財団法案だけを通過させた。 その後も統合に反対したが、政府から予算編成を拒まれ、打つ手がなくなった」

−2年間の活動を振り返った感想は? 

「国民の声援に力を得て財団を設立し、中国当局と学界を驚かせるほどの学問的成果を積み上げることができた。中国との国際学術会議、 南北学術交流、沿海州でのロシアとの渤海遺跡共同発掘調査といった事業は、現在ではすべて軌道に乗っている。これらの事業が中途で 挫折してしまうのは大変惜しいので、北東アジア歴史財団が可能な限り事業を引き継いでくれることを祈るばかりだ」

(朝鮮日報) - 09月10日12時02分更新



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