高句麗古墳群が世界文化遺産に 古代朝鮮の息吹伝える壁画の数々
4〜7世紀アジア最高の遺物 北朝鮮、初の登録 北朝鮮の高句麗古墳群が1日、中国蘇州市で開かれていた国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第28回世界遺産委員会で、世界文化遺産に登録された。計21カ国の委員が全会一致の形で拍手をし登録が決まった。北朝鮮での登録は今回が初めて。同古墳群の「本家」争いをしていた中国からの申請も登録され、 北朝鮮、中国が高句麗古墳で個別に世界遺産に登録される形となった。 写真は、平壌南西に位置する南浦市にある高句麗後期の代表的な古墳「江西中墓」の壁画・玄武図。玄武は中国古代の架空の動物で、東方の青龍、西方の白虎、南方の朱雀とともに四神をなし北方を守る守護神といわれる。
高句麗古墳群は、4世紀から7世紀にかけて築かれた壁画古墳が中心。古代国家・高句麗の支配階層が埋葬された古墳に壁画が描かれており、5世紀に都を北朝鮮の平壌に置き、中国東北部から朝鮮半島にかけた支配した高句麗の文化を特徴付けているといわれる。当時、中国は戦乱の時代だったため現存する遺物は少なく、同時代の日本の高松塚古墳もサイズが小さいことなどから、高句麗壁画はその大きさと力強さ、芸術的な面でこの時代のアジア最高峰の遺物といわれる。 今回登録されたのは、北朝鮮が申請した東明王陵の15基、湖南里(ホナムリ)四神塚周辺の34基など計5地域・総63基。壁画には4世紀ごろの生活風習や奈良の高松塚古墳と似た女性像が描かれたものもあり、高松塚やキトラ古墳の壁画のルーツではないかとの見方もある。 同遺跡のユネスコ世界文化遺産登録は、今から30数年前、日本画家の巨匠・平山郁夫氏(現、東京芸術大学学長)が高句麗遺跡の1つ、北朝鮮の修山里(スサンリ)古墳の壁画に魅了されたのをきっかけに北朝鮮を何度も訪問、同壁画古墳の世界遺産登録を働きかけてきたことによる。今回のユネスコ世界遺産委員会では、参加した韓国と北朝鮮の代表団が、遺跡の長期保存策などで協力していくことを約束した。 同古墳群の世界遺産登録では、中国側にも同種の古墳群が点在することから、北朝鮮と中国が「本家」の座をめぐり対立していた。今回、中国側も遼寧省の五女山城、吉林省の丸都山城、広開土大王碑・太王陵などを世界遺産として申請し、北朝鮮とは別個に登録された。諮問機関の国際記念物遺跡会議は、将来的に両国が共同登録をするよう提言している。
*写真提供=韓国高句麗研究会 (統一日報) - 2004年07月07日 |
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