報 道


高句麗史めぐり韓・中一触即発

中・・・一方的に自国史に編入
韓・・・関連学会が強く批判

 三国時代に朝鮮半島北部の支配国家だった高句麗(紀元前37〜後668年)をめぐり、 韓国と中国間で歴史論争が続いている。  中国が「東北工程」プロジェットという名のもとに朝鮮民族の古代国家である高句麗を 中国史に一方的に帰属させようとしているからだ。こうした中国の動きを受け、 韓国の歴史関連団体が積極的に中国を批判する動きをみせている。 これらの団体は中国の「高句麗史わい曲」に対し、100万人の国民署名運動を展開している。 現在はまだ、学術レベルの対立にとどまっているが、今後、外交問題に発展する可能性も十分にある。


中国大使館前で「高句麗史わい曲の是正」を求める韓国の歴史団体

昨年12月、韓国の17の歴史関連学会がソウル歴史博物館で異例の共同声明を発表した。

 共同声明は、中国は2002年から推進している国策プロジェクト(東北工程)を通して 中国東北地方(満州地域)の歴史と諸般の現状に対する研究事業を大々的に推進しているが、 この中で高句麗史を一方的に中国史に帰属させ、高句麗の活動舞台だった朝鮮半島北部まで 中国固有の領土だったと強弁。さらに、古朝鮮史も認めず、渤海史を中国地方政権の歴史に 編入しようとしていると指摘した。  さらに、「中国が歴史わい曲を引き続き推進するなら、相互不信が深まり、韓中関係は一層悪化するだろう」と警告した。

 中国辺境史研究センターは、一部国家の研究機関と学者たちが中国東北地域の 「戦略的な重要度」が日増しに高まる中で、別の狙いから歴史関係などの分野でわい曲しており、 少数の政治家は政治的な目的で誤った議論を行っていると主張している。

 この「一部国家」と「少数の政治家」が何を指すかは定かでないが、それぞれ、韓国と、北朝鮮と思われる。 それゆえ韓国では、金正日政権の崩壊や急激な南北統一に伴う東北地域朝鮮族の動揺を防ぎ、 万一の場合は北朝鮮に直接介入する歴史的な名分をつくるための準備作業という見方が強い。  中国は今年夏、北朝鮮の高句麗遺跡群の世界文化遺産登録を保留させ、来年夏、江蘇省蘇州で 開催されるユネスコの第28回世界遺産委員会で自国の高句麗遺跡群の登録を目指し、大々的な 修復・整備事業を進行している。北朝鮮は中国との同時指定を拒否しており、韓国の学会は政府に 北朝鮮への側面支援を訴えている。

領土問題介入が中国の目的 ― 徐吉洙・高句麗研究会会長

 高句麗の創建主体が中国民族なので、高句麗が地方政権で、それ以前の古朝鮮までも 自分らの歴史だと中国は主張している。しかし、三國志の東夷伝や広開土王陵碑などの 史料をみると、高句麗は中国と違う独自的な国家観をもっていた。地方政権だとしたらできない表現が多くみられる。  中国の歴代王朝に対して高句麗が行っていた朝貢や冊封制も東アジア全体に適用された一種の 外交的な慣例だった。中国の主張通りだと中国が百濟や新羅などと締結した朝貢・冊封制の関係との 違いがあるはずだが、そういった点は見つからない。

 九〇年代以前まで中国は、 高句麗史、古朝鮮史を韓国の歴史として認めてきた。 しかし、急に中国が立場を変えたのは政治的意図が含まれていると考えられる。 少数民族の歴史まで中国・漢族の歴史に帰属させようとすることは、歴史的接近方法自体の矛盾だ。 歴史は民衆史的に接近すべきであり、民衆史的に見れば、中国・漢族の歴史は高句麗と継承性がない。 高句麗史を中国史に帰属させようとする「社会科学院」が中国の政府機関である事実は、政治的目的を もっていることの証拠だ。朝鮮半島の統一に備え、事前の論理開発を通じ、領土問題に介入しようとするのが目的だ。

(統一日報) - 2004年01月14日



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